「2シーズン目のポステコグルー」はロンドンで嵐を起こすのか

こんにちは

 

プレミアリーグが閉幕しました。

まずは長く過酷な戦いを耐え抜いてきた各クラブには大いに拍手を贈りたいと思います。

 

そして、個人的にも少し気にかけていたトッテナムですが、5位フィニッシュで24-25シーズンはELを戦うこととなりました。*1

ポステコグルーについて書かせていただいた下記の記事が思ったより多方面から見ていただき、ありがたい限りでした。

[hapmldp.hatenablog.com

 

そんな中で、トッテナムは序盤が絶好調からの終盤尻すぼみで「果たしてこのままアンジェで大丈夫なのだろうか」という声と「いや、アンジェは2シーズン目にガチる。ソースはマリノス。」といった声もちらほら聴かれましたので、アンジェ1年目のマリノス、アンジェ2年目のマリノス(あとついでにアンジェ3年目もですね。)をガッツリ見てきた私から、

 

・『アンジェの2シーズン目』というのは何が起きているのか

・本当にあるのか

トッテナムでも起こりえるのか

 

ということを、当時の記憶を掘り起こしながら書いていきたいと思います。

 

・アンジェ2シーズン目のマリノスに起きていたこと

 

スカッドの整備と火力増強に答え続けた強化部

2018年の低迷が編成にあることは明白だったため、2018年の夏から2018年オフ、2019年夏にかけて選手をガッツリ入れ替えました。

一番わかりやすくいうと2018年開幕時と2019年最終節でのスカッドの比較でしょうかね。

赤字の選手以外はみな抜けているか途中で加入しているんですよね。

ポステコグルー就任から2年丸々在籍したのが8人*2です。

そのくらい入れ替えたことがまずはマリノス優勝の主要因となったわけです。

 

アンジェが勝手にチームを勝たせてくれることはありません。

今いる人材から最適解を出すような人じゃないことは1年間見てきてスパーズサポの方も流石に察してくださったことでしょう。

バックアップしてあげないことにはそう簡単にはいかないよってのはこれを見てイメージしていただけますでしょうか。

 

●日程的なアドバンテージの最大活用

マリノスは前年12位かつ無冠のため、当然ACLなど参加することはありません。

リーグ戦と国内カップ戦2つのみでした。

優勝を争う上でライバルといってよかった川崎、浦和、鹿島、広島はこぞってACLの日程が加わる過密状態でした。

そんな中で最終的にはFC東京マリノスの争いになりましたが、FC東京ラグビーW杯の影響もあり、アウエー8連戦という過酷な日程を強いられてしまったことも結果に無関係ではなかったと思います。

国内カップ戦のうち、ルヴァンカップは基本的に控えメンバー中心で挑んだ結果、グループステージで敗退したのでほぼ負荷にはなりませんでしたし、天皇杯も勝負所だったラウンド16の鹿島戦で思いっきりターンオーバーをして大敗かましていました。

秋以降は使えるリソースを全部リーグ戦のみに振り切ったことがタイトルをもたらしました。

 

■グダつく他クラブ

このシーズンはライバルたちがおよそグダついたのは大きかったです。

最大のライバルだったFC東京久保建英選手およびチャン・ヒョンス選手の移籍で産まれた穴を埋めきれなかったり、アウエー連戦により後半失速していきました。

鹿島は天皇杯で準優勝、ルヴァンカップでベスト4、ACLでベスト8とどのコンペティションにも顔を出していたことによる過密日程、主力だった安西選手と鈴木優磨選手*3の海外移籍によるダメージも大きかったように見えます。

川崎は不動のRSBだったエウシーニョ選手が清水に移籍したことで、最後まで彼の穴を埋められずにグダグダしてしまった印象はあります。

あとは守備の軸として獲得したはずのジェジエウ選手があまり稼働できないままシーズンアウトしてしまったり、こちらもルヴァンカップを制覇するなどカップ戦を長く勝ち上がったことによる疲労もあったと思います。

 

結構ここまで自分たちに都合よく流れが行くことはないですし、そういう意味で”持ってる”と言えるのかもしれません。

 

・ポステコグルーの2シーズン目というのは実際にあるのか

結論から言うと、ポステコグルーのサッカーに必要な人材の確保が進んだことで戦力を増強できたことが大きいです。

なのでどちらかというとフロント側、スカウト側がポステコグルーのサッカーを理解することによって補強の精度が上がったという見方ができます。

なので、別に2シーズン目に何か魔法を使うわけでもチームが上がるわけでもありません。

ただ流れとして求める人材像が明確になって補強して入れ替えが進むことで強化につながったということはあると思います。

 

トッテナムでも同じような旋風を起こせるか

現状、リーグタイトルという観点から見るとかなり厳しいと思います。

それはトッテナムが来期ELの出場権を確保しているからです。

優勝を争う上で、ライバルたちと比較して日程的なアドバンテージがありません。

また、トッテナムにおいては既にファンデフェン選手やヴィカーリオ選手の補強、ウドジェ選手のレンタルバックが大当たりであり、これ以上の補強ブーストによる伸びしろがどこまで残っているかというと微妙です。

しいて言うなら煮え切らなかったソン・フンミン選手のLWG起用をどうアップデートするか、といったところでしょうか。

 

日程面でのアドバンテージがなく、むしろ苦手とする過密日程*4に苛まれること、そして補強成功による伸びしろが当時のマリノスほど無いことを踏まえると、24-25シーズンにリーグを制覇するというのは可能性はゼロじゃありませんが、考えにくいと思います。

ただ、即ち無冠で終わるかというとそれはまた別の話になってきます。

一番長丁場でかつシビアな実力を問われるリーグ戦でシティやアーセナルを差し置いて頂点を掴むのは想像しにくいですが、流れと勢い、そしてポステコグルーの腹の括り方とクソ度胸がかみ合わさればトッテナムに念願のトロフィーをもたらす可能性は十分あるでしょう。

 

あまり過度に「ポステコグルーの2年目」というバズワードを信じすぎず、とはいえ絶望しすぎずにまずはどんなスカッドが揃うのか、そしてどのくらいの立ち位置を目標にしながら戦うのかを見ていければいいのかな、なんてことは思います。

*1:ついでに言うと日本にも来るみたいですね。

*2:しかもそのうち栗原選手は2019年をもって引退。杉本選手も第3GKというあまり動かす優先順位の高くないポジションでプレーしていましたが2019年をもって退団。

*3:まあ鈴木優磨選手はこの年前半戦怪我で全休ではあったのですが

*4:ポステコグルーは過密日程が苦手ですがあのサッカーのカロリーの高さを見れば自明ですよね。前の記事にも書きましたが運用はあまり上手いとはいえません。ここはマリノス視点になってしまいますが後任のマスカットやほぼ新人監督と言っていい現任のキューウェルに比べても劣ると思っています。