J1リーグの若手起用についてデータで調べてみた

こんにちは

めっきり暑さも和らいだ今日この頃ですが、私ふと思ったことがあります。

 

今のJ1リーグって若手少なくね…?

 

まず大前提若手を起用すればいいってもんじゃないとは思っています。

そもそも言うと

若手を積極起用しました→片っ端から欧州クラブに二束三文で買いたたかれていきました→弱体化しました

なんてクソバカバカしいから、若手が少ないことそのものをどうのこうの言うつもりはありません。

あくまでクラブのやるべきことは勝つこと、存続することです。

なので若手を使っているクラブが殊更偉いと持ち上げるつもりもありませんし、若手を使っていないクラブを腐すつもりもありません。

 

そのうえでお遊び程度で調べてみたよ~ってことをご理解いただけますと幸いです。

 

■若手の定義

これだいぶ迷いました。

「欧州目線からすると〇〇歳は若手ではない。ソースはラミン・ヤマル選手」

みたいな意見は余裕で想像つきました。

とはいえ調べてみて流石に例えば若手の定義を「10代まで」にすると、大半のクラブが全然使ってないよね、で終わるので調査として意味がないし面白くないと思ったので、2つにしました。

●21歳以下(2005年1月1日以降産まれ)

ロサンゼルス五輪にオーバーエイジ無しで参加資格のある年代ですね。

もっと言うと26/27シーズンのベストヤングプレーヤー賞受賞資格がある年代ともいえます。

厳しい人からすれば「21歳なんてバリバリ主力じゃないか」という意見もあるかとは思いますが、あとでお見せする数字できっと「ああ区切りとしてちゃんと機能しているんだな」と思ってくださると確信しています。

もう1つは

●23歳以下(2003年1月1日以降産まれ)

いやいやいや、と

待て、と

仰りたいことは分かります。

そんなもん若手じゃないじゃないかと。

お前野球を見過ぎて若手の年齢感覚が壊れたのか?と

でも考えても見てほしいのですが、五輪もアジア競技大会もサッカーはU-23の大会ですよね。

世界的に見て23歳以下、というのは一つの区切りとして若手として扱われているという事です。

なので、若手の定義を21歳以下および23歳以下として定義させていただきました。

 

■調査方法

現在8節まで終わっておりますが、その中で

・明治安田生命J1リーグ戦に1試合でも出場したことがある選手

を取り上げて、彼らの出場時間を合計し、各クラブがどれだけ若手選手を起用しているかを調査しました。

対象はトップチームの選手だけでなく、特別指定選手や2種登録の選手も含みます。

カップ戦やU-21リーグに関しては今回対象外となります。

ご容赦ください。

 

■調査結果

以下の表が調査結果となります。

 

U-21プレータイムが5%を超えている所と、U-23プレータイムが15%を超えている所は赤く表示しました。

また、一応参考程度にリーグ平均も載せています。

 

どうです?

若手の定義をU-21とU-23にした結果、各クラブの色が見えやすくなって面白くないですか?*1

 

こうしてみると、若手起用と順位との相関性はほぼ無い、とみていいでしょう。

また、U-21リーグに参戦しているクラブに関してはその為に多く選手を保有していることも考えられるので、ここの割合が小さいとしてもそれはそういうものだという見方もできます。

 

最後のどの選手がどれだけ試合に出ているかを一覧で載せておきますが、U-21に関しては主力格の選手が1人いるかいないかでパーセンテージが大きく揺れます。

例えばピサノアレクサンドレ幸冬堀尾選手(名古屋)や嶋本悠大選手(清水)といったクラブでもコアとしてプレーしている選手が所属していると、その選手が安定して試合に出ているので数字が跳ね上がります。

 

ベルギーリーグやオランダリーグでありがちな「売るため」に若手を使う、という事がほぼ行われていないことは明白です。

逆に言えばそんな若手に下駄を履かせないリーグにおいて、ベテラン中堅を押しのけて主力になる選手はやはり優秀であるとも言え、J1リーグで活躍を見せた選手が早期で欧州クラブに買われるのも納得がいきます。

 

■考察

23歳以下の選手ですらリーグ平均でのプレータイム割合が8.56%は少ないです。

以下の記事をご覧いただければその少なさがわかるかと思います。

www.transfermarkt.jp

輸出リーグではないリーグでもJ1リーグよりは遥かにU-21年代の選手を起用していることが見て取れます。

 

何度も言いますが、「J1リーグはけしからん」というつもりはありません。

ただ、現実として欧州の買う側のリーグと比べても若手起用が少ないです。

 

その理由としては

・他国にはない大学サッカーが機能しており、プロデビューが22歳の選手が多い。

・売るために若い選手を使うということをしない。売っても高い値段にならないことが多いので売るメリットがない。

・若いタレントが買われてチーム力が下がるくらいなら、長くチームに在籍してくれる可能性の高いベテラン、中堅をコアにしたチーム作りをする。

といったあたりが挙げられるでしょうか。

 

輸出リーグ化することはもはや避けられないなかで、輸出によるダメージを少しでも軽減するための各クラブの努力を否定することは私にはできないな、と正直思う部分はあります。

とはいえファンサポーター心理として、活きの良い若手が自チームから出てきたらそれだけで見る動機付けにはなるという側面もあるでしょうから、各クラブのポテンシャルが高い若手選手が飛躍することを願うのみです。

 

■おまけ

8節段階でJ1リーグに出場した若手選手一覧を載せておきます。

とんでもなく暇なときにでも見てみてください。

 




 

 

 

 

*1:U-19を区切りにしたら過半数のクラブが1%を切っていたので、あまり測る意味がなかったです。

学歴煽りについて

最近、某学歴煽り系のYouTubeチャンネルがよく炎上しています。

私は世代的に彼らの主要な視聴層ではありませんし、実際にチャンネル登録もしておらず、ほとんど見たことのないチャンネルでした。

ただ、どんなものなのかといくつか動画を見てみたところ、いわゆるテンプレ的な学歴煽り――「国公立>私立」「推薦dis」「偏差値至上主義」など――が多く、ひと昔前に一通り「悪いインターネット」を見てきた人間からすると、特段目新しいものには感じませんでした。

とはいえ、意外とこういう露悪的な感じが今はウケるのだろうか……?というのが正直なところです。


このチャンネルについては、「大学受験生が偏差値で思い悩んだり、学歴コンプレックスを抱える原因になっているのではないか」という批判もあります。

ただ、個人的な感想を言えば、それは当該チャンネルが存在するかどうかで大きく変わるものではないと思っています。

そもそも、学歴コンプレックスを抱えたり、受験で思い悩んだりする学生なんて、ここ数年に突然現れたものでも何でもありません。

何十年も前からずっと存在している問題です。

なんなら、大学を卒業して10年以上経っているのに学歴コンプレックスに悩んでいる人を、私は実際に見たことがあります。その人は私より年上でした。

もちろん、彼らがやっていることを肯定的に見るつもりはありませんし、「そもそも何が面白いんだ……?」という疑問もあります。

ただ、現代の学歴社会の元凶であるかのように扱われることには、かなり違和感があります。


とはいえ、擁護するつもりもありません。

実際、失礼な言動・行動があまりに多く、世間から眉をひそめられているのも事実でしょう。

ただ、出演している学生に対する言動については、事前に意図を説明したうえで行っているらしく、少なくとも突発的に学生の学歴を馬鹿にしているわけではないようです。

流石にそこは、そうであってほしいものですね。

 

 

一方で、現在話題になっている福島大学の原子力研究についての「福島大に任せたくない」という発言は、あまりにも不用意で、お粗末だったと思います。

そもそも演者の意図としては、

「福島大学くらいの、そこまで高くない偏差値の大学で学んだような人に、原子力という複雑かつ今後のエネルギー政策を左右する研究を任せるのは不安だ」

という、ある意味ではいつもの偏差値煽りでしかなかったのでしょう。

もちろん、その煽りに正当性があるのかどうかについては、ここでは議論しません。

 

もしこれが福島大学ではなく、福島大学と同じくらいの偏差値帯にある別の地方大学について同じことを言っていたのであれば、「またいつもの偏差値煽りか」とスルーされていた可能性もあるでしょう。

しかし、福島という土地は他の地域とは事情が違います。

そこを十分に考慮せず発言してしまったのは、演者の脇が甘すぎたと言わざるを得ません。

まあ、そもそも編集段階でカットしなかったのもどうなのか、とは思いますが。

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私は、露悪的な学歴・偏差値煽りをエンターテインメントとして行う「こと」自体を、全面的に否定するつもりはありません。

彼らに限らず、別のジャンルでも露悪的なエンタメなんて山ほどあります。

少なくとも、「こういうことをやっているからチャンネルを閉鎖しろ」という話にまでなるのは、私は違うと思っています。

ただし、こうした露悪的な内容を扱うのであれば、それ相応に慎重に、そして繊細に動画を作る必要はあるでしょう。

「何を言ってもいい」というわけではありません。


そもそも、この国の偏差値・学歴重視の姿勢は、別に今始まったことでも何でもありません。

大学入試を「入口」である偏差値だけで過度に評価する構造がある限り、偏差値を重視する人たちは今後も現れるでしょう。

極端な話、海外の大学のように「入りやすく、出づらい」構造にでもしない限り、大学の難易度を入口の偏差値で測る風潮が完全になくなるとは思えません。

そうした大学教育全般の構造的な問題や、それによって生じているある種の欺瞞をスルーして、目立ちやすい露悪的なチャンネルだけを強い言葉で非難し、正義面したところで仕方がないだろう、とは思います。


私自身、大学受験のときは「何を学びたいか」なんてほとんど考えず、結局は通学圏内にある最も偏差値の高い大学を選んで受験しました。

そういう意味では、私自身も偏差値至上主義からまったく抜け出せていなかったと言われても、返す言葉はありません。

だからこそ、今になって振り返ると、「大学の偏差値って、当時思っていたほど人生に大きな影響を与えるものでもなかったな」と感じます。

もちろん、卒業生同士のつながりが強い大学など、大学そのものに明確なメリットがあるケースは別です。

ただ、それは必ずしも「偏差値が高いから」という理由ではありません。

少なくとも私自身の経験では、偏差値が高い大学に行くこと、あるいは低い大学に行くことによる将来への影響は、大学受験生だった頃に想像していたものより、かなり小さかったと思います。

働き始めてからは、学歴なんてどうでもいいな、と心底思っています。


そんなわけで、こういった学歴・偏差値煽り系のチャンネルについて私見を述べるなら、結局のところ、

「シンプルに、何が面白いのかよく分からない」

というのが本音です。

別に、それだけを理由にチャンネルを閉鎖しろとも思いませんし、日本社会における学歴コンプレックスの元凶だとも思いません。

ただ、「今の世の中では、こういうものがウケるんだな」ということについては、ある意味で勉強になりました。

昭和や平成のコンプライアンスが今よりずっと緩かった時代のヤバいバラエティとも、また違うえぐみがあります。

これも時代なんだなあ……と、しみじみしてしまいました。


そして、これとはまた別の問題として、日本には権威主義があまりにも根強いな、とも感じました。

どういうことかというと、今回このチャンネルへの批判が大きく広がった背景には、九州大学の教授が当該チャンネルを批判する投稿をしたことがあるようです。

もちろん、批判すること自体は自由です。

そもそもアカデミアと偏差値至上主義は、本来もっとも噛み合わない世界でしょうから、研究者の立場からすると、思うところがあったのだろうとも思います。

ただ、その教授による批判も次第にエスカレートし、かなり大上段からチャンネルの閉鎖を要求するような言動まで見られるようになりました。

一般的な社会人として見ると、そこにも違和感を覚えます。

私個人としては、当該チャンネルも当該教授も、それぞれ別のベクトルで「どっちもどうなんだろう」と思ったのですが、大学教授という肩書きの持つ権威に呑まれてしまったのか、教授側の言動に対する違和感を指摘する人は極めて少なかったように感じます。

実際、内容としては一見もっともらしい批判に対しても、

「旧帝大の教授が主張しているんだぞ。だから正しい」

と言わんばかりの、盲目的な権威主義的意見が目立ちました。

これはこれで違うよなあ、と思ってしまいます。

その後、この教授が女子枠への賛同を表明していたことなども話題になり、最終的には「いや、それはそれでダメじゃねえか」となってしまったのには、乾いた笑いが出ました。

もし同じ主張をしていた人間が大学教授ではなく、匿名の一般人だったとしたら、果たしてこれほどまでに耳を傾けてもらえたのでしょうか。

他のジャンルでも感じることですが、日本の権威主義はかなり根強いと思います。

誰が言ったかではなく、何を言ったかで判断してもらいたいものですな。


兎にも角にも、

「目立つ泡沫的なコンテンツだけを強い言葉で非難し、問題の本質にある大きな構造には目を向けない。あるいは、本当に見えていない」

という流れには、もうお腹いっぱいです。

まさか、それを学歴煽り系YouTubeチャンネルの炎上問題から改めて考えることになるとは、夢にも思いませんでした。

人生、何があるか分からんもんですね。

U-21リーグの絵図

こんにちは

Jリーグが、秋春制移行と同じくしてU-21リーグを始めました。

 

個人的に高校卒業後プロ入りした選手は、ファーストキャリアでポジションを掴み取れた一部のタレントと、ローン先に恵まれた運のいい選手を除くと中々出場機会に恵まれないまま年だけ取っていくというのは個人的に気になる事ではありましたし、やるならポストユースの年代でリーグ戦をすべき、とは過去に私自身も主張したことはあります。

 

ただ、今のJリーグのU-21リーグについては懸念点であったり、位置づけについて改めて考え直さないといけない事は少なくないかな、と思います。

 

■懸念点

過去にJリーグはエリートリーグという似たようなポストユースのコンペティションを開催していましたが、2年ほどで自然消滅しました。

取組を実施して、頓挫すること自体を殊更非難する気はないのですが、エリートリーグがなぜ頓挫したのかという総括もなく、なんなら明確な告知もないまま気づいたら消えていました。

正直ここはかなり問題だと思っていて、最低限「終わらせます」の一言は無いとお話にならないのではないかと感じました。

 

また、エリートリーグ自体も各クラブが人員確保の為に高校生や大学生の練習生を連れてきてチームの一員として試合に出すといったことを行っていたので、本来の目的から離れて「とりあえず試合をこなす」ことが必要になっていったのも良くない傾向だったのではないか、と推察します。

 

そんなエリートリーグの総括もせず、どこまで反省を生かしてどう変えたのかが見えづらい*1中で、新たにU-21リーグをやりますと言われても、同じような事が起きるだけになりかねないのでは?と思ってしまいます。

 

■位置づけ

理想はU-21で出場機会を得た選手がトップチームでも活躍するという段階を踏むことでしょうけど、個人的には所属元と違うクラブであっても、契約の声がかかればそれは選手個々にとってはゴールに当たるのではないかと思っています。

どういうことかというと、U-21を主戦場にする選手はいわば「育成選手」の扱いで、本当のプロである「支配下」に上がることが目的であれば元々の所属チームでなくとも、他クラブがU-21のパフォーマンスを見て声をかけてくるなら十分目的を果たせているのではないかという事です。

当該のサポーターからしたら、未来の主力候補として期待をかけていてU-21リーグを応援することとは思いますが、現実的にU-21から安定的な戦力供給は難しいかなというのが感想です。

ただ、U-21リーグという試合出場の場を提供できるのは事実なので、その場を通して若い選手たちを各クラブにお披露目出来るのは意義がある事かなと思います。

 

■サポーターとしてのスタンス

U-21リーグに参加するクラブのサポーターとしては、「未来の主力たち」という目線は一旦脇に置くべきです。

その期待値だときっと現実とのギャップに食らってしまうでしょう。

多くのクラブは下部組織出身の若手選手やなんなら下部組織の2種登録選手を中心にU-21リーグを戦うと思いますが、その自前で育ててきた選手たちが本当のプロになるための戦場を提供している場であって、その戦場のケツを持っているのが各クラブ、という感覚で見てあげた方が良いかと思います。

*1:一応高校や大学から練習生を連れてきてチームの一員として試合に出すことはできなくなったそうです。特別指定選手じゃないとダメだとか。

サッカー日本代表について

こんにちは。

先日、ワールドカップで日本代表はラウンド32でブラジル代表に敗れ、大会から姿を消しました。

この結果を受け、さまざまな議論が巻き起こっています。せっかくなので、私もその輪に加わってみようと思います。

とはいえ、私は普段から代表戦を熱心に追いかけているわけではありません。アジア予選でライバル国をギタギタにする試合を見て、「強すぎクソワロタwwwww」と驚いていた程度の知識しかありませんが、よければお付き合いください。

 

■ワールドカップでの日本代表はどうだったのか

まず、ベスト32という結果だけを見れば、「最低限」という評価になるでしょう。

「優勝を目標に掲げていたのにベスト32では話にならない」という意見もあります。しかし、選手やスタッフも本気で優勝だけを現実的な目標としていたわけではなく、「目の前の一戦一戦に全力で挑み、行けるところまで行く。その可能性に自ら上限は設けない」という意味合いで掲げていたのではないでしょうか。

 

今大会のレギュレーションを踏まえれば、現実的な目標はベスト16、うまくいけばベスト8進出あたりだったと思います。ただ、それをわざわざ「目標はベスト16です」と口にするのも違いますからね。

 

大会前の期待値を考えれば、ベスト32という結果はやや物足りないものです。

とはいえ、ラウンド32の相手がブラジルになったのは、シンプルに組み合わせによる部分が大きいでしょう。仮にスウェーデンをフルボッコにしてグループ1位を突破していたとしても、今度はモロッコとの対戦になります。結局のところ、この点はどうしようもありません。

もちろん、ピッチに立った選手たちは本気でブラジルに勝つつもりだったはずです。

 

ブラジル戦の内容についてはさまざまな意見がありますが、私は現状の日本代表としては、あれ以上の戦い方は難しかったと考えています。

例えば、「田中碧選手があの場面でボールを失わなければ」「菅原選手の絞りが甘かった」といった個々のプレーを指摘する声もあります。しかし、個人的にはそこが本質ではありません。

後半の試合展開を見ていても、日本が主導権を握り返す姿はあまり想像できませんでした。仮に90分をしのぎ切ったとしても、延長戦で力尽きていた可能性が高かったように思います。

その一方で、代表メンバーの選考については、もう少し工夫の余地があったのではないかと感じています。

 


■懸念が現実となった代表選考

今回の日本代表メンバーは、改めて以下の26名です。

 

3-6-1を基本システムとするのであれば、前線の人数はやや多く、本職のボランチは負傷リスクを抱えていた遠藤選手を含めても4人しかいませんでした。

結果的に遠藤選手が離脱し、その代役として前線の町野選手が追加招集されたことで、当初から指摘されていたボランチの層の薄さが現実の問題となりました。

 

また、経験の浅い鈴木唯人選手、後藤選手、塩貝選手の招集についても、即戦力として機能するのかという懸念がありました。そして結果だけを見れば、3人とも今大会で十分な戦力になれたとは言い難いでしょう。

もちろん、若手に国際大会を経験させることは将来を考えれば重要です。しかし、それ以上に非常時への備えが不足していたことで、自ら使える手札を減らしてしまった印象を受けます。

 

それでなくとも、大ベテランであり、半ばメンター役でもある長友選手を招集していたことで、本来フィールドプレーヤーに充てられる23人の枠を1つ使っていました。

そう考えると、それ以外の選考については、もう少しバランスを重視しても良かったのではないでしょうか。

 

長らくチームの中心だった南野選手、三笘選手が大会に間に合わなかったことは、日本にとって非常に大きな痛手でした。「彼らがいれば……」という意見にも納得できます。

もっとも、いない選手はいないわけで、例えばブラジルもラフィーニャ選手やミリトン選手を欠いていました。主力の負傷で苦しむのは、どの国にも共通する課題です。

 

ボランチについても、守田選手の名前ばかりが挙がりますが、何も代役は守田選手だけではありません。藤田譲瑠チマ選手や佐野航大選手を招集するという選択肢も十分考えられたはずです。

これは大会が終わったから言っている結果論ではなく、大会前から懸念されていたポイントが、そのまま現実になってしまったという見方のほうが近いのではないでしょうか。

 

■戦い方の幅のなさ

今大会の日本代表の戦い方を一言で表すなら、「前線の選手が誰一人としてサボらず、全身全霊で全員が頑張り続けるサッカー」でした。

 

本職がウイングやサイドハーフの選手たちが、ウイングバックとして限界まで上下動を繰り返し、ときには5バックを形成して守備にも献身する。

まさに究極の自己犠牲を前提としたスタイルであり、他国にはなかなか真似のできないサッカーだったと思います。

ここまで前線のタレントがみんな走ることを厭わないチームは、少なくとも代表レベルではそう多くありません。

 

一方で、日本代表の強みとしてよく挙げられる「組織力」については、私はそこまで強く感じていません。

むしろ、一人ひとりが走り、戦い、目の前の相手との1対1を積み重ねていく、その個の積み重ねによって成立しているチーム、という印象を受けます。

もちろん、現状のチームで別のスタイルを高い完成度で実践できたかと言われれば、それも難しかったでしょう。

 

だからこそ、この戦い方を成立させるためには、特にウイングバックの存在が極めて重要になります。

求められるのは、高いキャリー能力*1と豊富な運動量、そして90分間上下動を繰り返せるアスリート能力です。

その意味で、堂安選手と中村選手がチームの生命線だったことは間違いありません。

しかし、裏を返せば、その役割を高いレベルで担える選手がほかに居なかったとも言えます。

 

そして、ここまで読んでいただければ分かるように、そもそもこの役割自体が非常に過酷です。

どれだけ優れた選手でも、これだけのタスクを何試合も続けてこなすのは簡単ではありません。

本来であれば、ここに三笘選手が加わる構想だったのでしょう。

しかし実際にウイングバック要員として招集されたのは、鈴木淳之介選手、菅原選手、そして長友選手でした。

 

もちろん、それぞれに持ち味のある選手ですが、高いキャリー能力とアスリート能力を兼ね備え、堂安選手や中村選手と同じ役割を担えるタイプかと言われれば、少し違います。

結果として、それぞれに任せられる役割も限定的になってしまいました。

 

実際、ブラジル戦では中村選手と堂安選手が交代した後、日本は押し返す力を大きく失いました。

もちろん相手との力関係もありますが、日本の戦い方そのものが、ウイングバック2人の存在を前提として成立していたことが大きかったのではないかと考えています。

 

■強豪国とは違うピーキング

もう一つ、日本代表がワールドカップで上位進出を目指すうえで課題だと感じたのが、「ピーキング」です。

つまり、大会期間中のどこでチームのコンディションを最高の状態へ持っていくか、という問題です。

 

ワールドカップでは、強豪国がグループステージで思うような試合ができず、苦戦するケースが少なくありません。

しかし、それは決して調子が悪いからとは限りません。

彼らの多くは、決勝トーナメントを勝ち抜くことを前提にコンディションを調整しており、グループステージではまだピークに達していないことも珍しくないからです。

 

一方、日本代表は「まずはグループステージ突破」が最優先という意識で大会に臨んでいるように感じます。

そのため、コンディションのピークをグループステージに合わせて作っている印象があります。

 

実際、このアプローチによって近年は安定してグループステージを突破してきましたし、逆にピーキングに失敗して早期敗退する強豪国もある以上、この考え方自体を否定するつもりはありません。

 

ただ、今大会から参加国が増えたことで試合数も増えました。

さらに、日本は非常に運動量を要求される戦い方を採用しています。

そうした事情を考えると、グループステージ突破だけでなく、その先まで見据えたコンディション調整について、一度見直してもいい時期なのかもしれません。

 

■森保監督の去就について

森保監督については、「なんだかんだでよくやった」という声もあれば、「2018年から8年間率いてビッグタイトルはゼロ。そろそろ区切りをつけるべきではないか」という意見もあります。

 

私が森保監督を最も評価している点は、代表チームとしてのコミットメントをここまで高めたことです。

 

今の日本代表が展開しているサッカーは、とにかく運動量が求められます。

前線からの激しいプレス、ウイングバックの絶え間ない上下動、攻守の切り替え──。選手一人ひとりに課せられる負担は非常に大きく、エゴの強いトップレベルの選手たちに、それを全員徹底させるのは決して簡単なことではありません。

それでも代表選手たちは、誰一人として手を抜くことなく、チームのために身を粉にして戦っています。

 

代表チームにおいて、「全員がチームのために戦う」という当たり前のようで決して当たり前ではない文化を築き上げたことは、森保監督の大きな功績だと思います。

 

一方で、目に見える結果を残せなかったこともまた事実です。

2019アジアカップ 準優勝
2021東京五輪 ベスト4
2022ワールドカップ ベスト16
2024アジアカップ ベスト8
2026ワールドカップ ベスト32

もちろん、どの結果も「大失敗」と切り捨てるようなものではありません。

 

しかし、8年間という長期政権であること、そしてここまで述べてきたように戦い方の幅が限られていることも踏まえると、現在の日本代表は森保体制における一つの完成形に近づいているようにも見えます。

言い換えれば、この体制で到達できる天井が見え始めているのではないでしょうか。

 

もっとも、「では森保監督に替えて次は誰に任せるのか」という問題もあります。

候補として現コーチの名波浩氏や、U-21日本代表を率いる大岩剛氏の名前が報じられていますが、森保監督から交代したことで劇的に状況が好転するような人選には、正直あまり見えません。

 

むしろ、現在の代表の中心を担っている東京五輪世代(1997~2000年生まれ)は、世代別代表時代から森保監督が長く見てきた選手たちです。

次回のワールドカップは、この世代にとって集大成となる可能性が高く、そのタイミングまでは森保監督が続投するという考え方にも一定の合理性があります。

現状の報道では、JFAが森保監督に対して1年契約を提示したとされています。

これは翌年のアジアカップまでを見据えた判断なのでしょう。

 

一方で、監督交代に合理性を見いだせる点があるとすれば、それは選手選考の基準が変わる可能性です。

森保監督は8年間代表を率いてきたことで、どのようなタイプの選手を好み、逆にあまり評価しないタイプの選手なのかがおおむね見えてきました。

例えば、身長の低いGKはほとんど招集されませんでしたし、CFもサイズを重視する傾向があります。

また、3バックを基本とすることもあり、SBについてもゲームメイクを得意とするタイプより、ウイングバック適性の高い選手が優先される印象があります。

もちろん、その判断には十分な理由があるのでしょう。

 

しかし、監督や戦術が変われば、これまで代表でチャンスを得られなかった選手が活躍する可能性もあります。

逆に言えば、森保監督がさらに4年間続投すれば、同じ選考基準が12年間続くことになります。

その間、能力がありながら代表で十分な機会を得られない選手が出てくる可能性もあり、その点は監督交代を検討する理由の一つになり得るのではないでしょうか。

 

■結論

2026年ワールドカップについては、現状の日本代表が持てる力は十分に出し切った大会だったと思います。選手たちは本当によく戦いました。

一方で、代表メンバーの選考については、もう少し改善の余地があったと感じます。

 

日本代表のハードワークを軸とした戦い方は世界でも独特であり、大きな武器でした。しかし、そのスタイル以外の選択肢をほとんど持てていなかったことは、今後に向けた課題でもあります。

また、ピーキングについても、グループステージ突破だけでなく、その先まで見据えたコンディション作りを検討してもいい時期に来ているのかもしれません。

そして、現在の日本代表は森保体制の完成形と言って差し支えないでしょう。

森保監督を交代させれば状況が劇的に好転するとは思いません。

 

それでも、戦術や選考基準に新しい視点を取り入れるという意味では、監督交代を検討するだけの合理的な理由は存在すると感じています。

だからこそ、次の4年間は「今までの延長線上」で進むのか、それとも新たな一歩を踏み出すのか。その選択の行方をこれまで通りあまり熱心ではないながらも横目でチラ見くらいしておこうかと思いました。

*1:ボールを持ち運ぶ能力

野球論

こんにちは。

いきなり仰々しいタイトルですが、今回は野球という競技を見てきた中で、自分なりに考えていることや、選手評価についてまとめていきたいと思います。

あくまで素人の戯言ではありますが、一応ベースボールアナリスト3級程度は持っているので、よければ軽い読み物として見ていってください。

 

■野球の本質

野球という競技は、一塁・二塁・三塁・本塁の4つのベースを踏むことで得点が入ります。

得点の方法に決まりはなく、本塁打のように一気に4つのベースを踏んでもいいですし、安打や四球をつなぎながら少しずつ進塁して得点しても構いません。

ただし、その動作は「1イニングで3アウトを取られるまで」に行わなければなりません。

そして、そのイニングが9回まで存在する――それが野球というゲームです。

 

かなり乱暴に言えば、野球は「攻守が完全に分断されたすごろくゲーム」だと私は考えています。

盤面自体は非常にシンプルですが、駒の性能は千差万別です。

 

例えば攻撃では、一度に多くの塁を進める可能性が高い選手もいれば、なかなか塁を進められない選手もいます。

走塁も同じです。

一見すると「ただ1つ先の塁へ進むだけ」に見えても、本来1つしか進めない場面で2つ進めることができれば、大きなアドバンテージになります。

逆に、本来2つ進める場面で1つしか進めなければ、その損失は決して小さくありません。

打撃ほど派手ではないにせよ、こうした細かな積み重ねも「塁を進める」という観点では重要です。

 

守備は、相手の塁進行を食い止める役割を持っています。

圧倒的な支配力を持つエース投手であれば、相手打線の進塁を強く抑え込むことができますし、力不足の投手であれば、どうしても進塁を許しやすくなります。

 

また、投手以外の守備でも、

・相手の進塁を防げる選手

・まずい守備によって進塁を助長してしまう選手

が存在します。

 

しかも、このゲームは決して平等ではありません。

チームによって、そもそもの「駒」の性能差があります。

強いチームは優秀な選手を多く抱えている、あるいは優秀な選手に多く出番が回るように運用されています。

逆に弱いチームは、単純に戦力不足であったり、選手の使い方に問題を抱えていることがあります。

 

ただ、それでも野球にはかなり大きな「運」の要素があります。

だからこそ、この競技は面白いのだと思います。*1

私は、そんな「期待値と運が複雑に絡み合うすごろくゲーム」が野球だと考えています。

「どんなに弱いチームでも3割は勝つ」なんて話を聞いたことがある人もいるかもしれません。

それは、野球が1試合単位で見ると非常に運の影響が大きい競技だからです。

もちろん長期的には戦力差が結果に表れます。

ただ、1試合だけを切り取れば、打球運や得点の偏りによって、戦力で劣るチームが普通に勝つことも珍しくありません。

 

■優秀な選手とそうでない選手の見分け方

ここまで色々と書いてきましたが、別に自分はメカニクスに詳しいわけではありません。

なので今回は、あくまで「駒」として見た時に、どういった選手が優秀なのか――という視点で考えをまとめていきます。

 

●優秀な野手

極論を言えば、「打って・走って・守れる選手」です。

ただ、すごろくゲーム的に表現するなら、

攻撃時により多く塁を進めることができ、守備時には相手の進塁を食い止められる選手

と言えるでしょう。

もちろん、そんな完璧な選手はそう多く存在しません。

そのため、より正確に言うなら、

「攻撃でどれだけ得点期待値を生み出せるか」と、「守備でどれだけ相手の得点期待値を抑えられるか」を合算した時に、高い価値を出せる選手

が優秀な野手だと考えています。

 

例えば、打撃は平凡でも守備で大量失点を防げるスーパー守備職人は、守備面で極めて高い価値を持っています。

逆に、守備は平均的でも打力が突出している選手は、攻撃面で大きな価値を生み出します。

どちらも、総合的に見れば優秀な選手です。

 

また、守備はポジションによって価値が異なります。

ショートやキャッチャーは、相手の進塁を防ぐ上で非常に影響力の大きいポジションです。

一方で、レフトやファーストは守備機会や守備範囲の都合上、どうしても守備による影響力には限界があります。

DHに至っては、当然ながら守備貢献は存在しません。

 

そのため、同じ打撃成績の選手であれば、

ショート

キャッチャー

センター

セカンド

のような守備負荷が高く、守備価値の大きいポジションを守れる選手のほうが、チーム全体への貢献度は高くなりやすいです。

そして、この考え方を数値化した代表的な指標が、

「WAR(Wins Above Replacement)」

です。

ざっくり言えば、

“代替可能な平均的選手と比べて、どれだけ勝利に貢献したか”

を示す指標ですね。

 

hapmldp.hatenablog.com

 

 

ただし、野球は運の要素が非常に大きい競技でもあります。

本来は高い期待値を持っているにもかかわらず、打球運が悪いために結果へ結びついていない選手も少なくありません。

要するに、

・内容は良い

・強い打球も打てている

・なのに打率や長打率が伸びない

というタイプの選手です。

 

では、こういった「見た目の成績以上に価値のある打者」をどう見抜くのか。

そこで重要になってくるのが、「打球の質」です。

 

●ハードヒット率

打球速度95mph(約153km/h)以上の打球割合。

つまり、「どれだけ強い打球を打てているか」を示す指標です。

当然ながら、強い打球を打てる打者ほど長打や安打になりやすく、打撃内容も安定しやすくなります。

 

●フライ率

打球全体に占めるフライ打球の割合。

一般的に、ゴロよりもフライのほうが長打になりやすく、得点期待値も高いと言われています。

そのため、一定以上の長打力を持つ打者にとっては、フライを打てること自体が武器になります。

ただし、内野フライはほぼ自動アウトに近いため、単純なフライ率だけでなく、外野へ飛ばせているかまで見られるとより理想です。

 

●バレル率

打球のうち、「安打や長打になる確率が非常に高い理想的な打球」の割合。

Statcast(MLBの打球計測システム)で定義されている指標で、

打球速度98mph(約157.7km/h)以上

かつ適切な打球角度

を満たした打球が「バレル」とされます。

 

要するに、

“理想的な長打性の打球をどれだけ打てているか”

を見る指標です。

 

結果だけを見ると成績が物足りなく見える打者でも、

ハードヒット率
フライ率
バレル率

などが優秀であれば、実際にはかなり高い期待値を持っている可能性があります。

なので、打率や打点だけで判断せず、打球内容まで見てあげると面白いと思います。

ここまでをまとめると、優秀な野手を見る時のポイントは以下の4点です。

 

・走攻守を総合して高い価値を生み出せる選手が優秀

・守備位置によって守備価値は大きく異なる

・その総合価値を数値化した代表的指標がWAR

・表面的な成績だけでなく、打球の質を見ることで「隠れ高期待値打者」を発見できる

 

●優秀な投手

投手に関しては、野手よりも考え方は比較的シンプルです。

基本的には、

・三振を多く取れる

・四球を出さない

・強い打球を打たれにくい

この3点を高いレベルで満たしている投手ほど優秀だと考えています。

言い換えれば、

相手に余計な進塁を許さず、打球運の影響を受けにくい形でアウトを積み重ねられる投手です。

まず、三振を取れる投手は非常に強力です。

三振は打球が飛ばないため、

・守備の影響

・打球運

・不運なポテンヒット

といった要素が介在しません。

つまり、投手自身の力だけで確実にアウトを取れるということです。

そのため、奪三振能力は投手評価において非常に重要なポイントになります。

 

逆に、四球はかなり危険です。

四球は、相手に何もさせていないのに無条件で進塁を許してしまうプレーだからです。

もちろん、長打を避けるための慎重な配球が必要な場面もあります。

ただ、基本的には「余計な走者を出さない」ことは投手にとって非常に重要です。

 

さらに、被打球の質も大切です。

一般論として、ゴロ打球はフライ打球より長打になりにくく、大量失点へ繋がりにくい傾向があります。

そのため、ゴロを多く打たせられる投手は、安定感を出しやすいです。

もちろん、三振を大量に奪えるタイプや、高めのフォーシームでフライを打たせるタイプなど、優秀な投手の形は一つではありません。

 

ただ、

・三振を取れる
・四球を出さない
・打球の被害を抑えられる

という3点は、多くの優秀な投手に共通している特徴だと思います。

 

ここまで読んで、

「被安打」や「勝利数」の話が出てこないと感じた方もいるかもしれません。

ただ、これらは投手個人の能力だけでは決まりません。

例えば被安打には、かなり大きな運の要素があります。

誰でも一度くらいは、

打ち取ったような弱いゴロが内野を抜ける
当たり損ないのフライがポトリと落ちる

といった場面を見たことがあると思います。

逆に、

完璧に捉えられたライナーが正面を突く
大飛球がフェンス手前で失速する

こともあります。

つまり、被安打には投手だけではコントロールできない部分がかなり含まれています。

特に、インプレー打球の被打率(BABIP)は運の影響を受けやすい指標として知られています。

そのため、

内容自体は優秀なのに、たまたま打球運が悪く、防御率だけが悪化している投手

も普通に存在します。

また、勝利数についても同様です。

投手がどれだけ好投しても、味方が点を取れなかったり、後続のリリーフが失点する

だけで勝ちは消えます。

逆に、内容が悪くても大量援護で勝ち星が付くこともあります。

なので、個人能力を評価する上では、勝敗だけを重視しすぎないほうがいいと考えています。

実際、昨年のサイ・ヤング賞右腕であるポール・スキーンズ選手(ピッツバーグ・パイレーツ) も、シーズン成績は10勝10敗でした。

 

では、「結果には表れていないが、実は優秀な投手」を探す時には何を見るべきか。

個人的には、以下の数字をよく見ます。

 

K%(奪三振率)

対戦打者に占める三振の割合。

一般的には17〜18%前後が平均と言われています。

当然、この数字が高いほど、自力でアウトを取れる能力が高いと言えます。

 

BB%(与四球率)

対戦打者に占める四球の割合。

平均は6〜7%程度。

低ければ低いほど、無駄な走者を出さない安定感のある投手と言えます。

 

GB%(ゴロ率)

打球全体に占めるゴロ打球の割合。

おおよそ45〜47%前後が平均です。

ゴロを多く打たせられる投手は、大崩れしにくい傾向があります。

 

DER(インプレー打球のアウト確率)

打球がインプレーになった際、どれだけアウトになったかを示す指標。

平均はおおよそ.700前後です。

この数字が極端に低い投手は、守備や打球運に恵まれていない可能性があります。

つまり、防御率だけを見ると悪く見えても、実際にはかなり優秀な内容を残しているケースもあるわけです。

 

また、先発投手とリリーフ投手の価値の違いについても軽く触れておきます。

ここはかなりシンプルで、

「どちらがより多くのイニングを消化するか」

が大きなポイントになります。

先発投手は、年間140イニング前後を投げながら、長期間にわたって試合を作ります。

つまり、それだけ大量のアウトを積み重ね、相手打線を抑え続けているということです。

一方、リリーフ投手は重要な場面を任される反面、年間投球回は60イニング前後に収まることが多いです。

もちろん役割として非常に重要ではありますが、単純な量的貢献では、どうしても先発投手のほうが大きくなります。

最後に、投手評価についてまとめると、

・三振を奪える

・四球を出さない

・被打球の質を抑えられる

投手ほど優秀といって差し支えありません。

また、

・被安打や防御率には運も絡む

・表面的な結果だけでは判断できない投手も多い

という点は重要です。

 

そして、年間を通じた総合的な貢献量という意味では、一般的にはリリーフより先発投手のほうが価値は大きくなりやすい――というのが私の考えです。

 

■参考になるサイト

・NPB BASEMENT:簡易的に選手のWARを算出している個人サイト。

npbbasement.com

 

・NPB Scholar:選手単体の評価が見られるサイト。バレル率などはこちら参照。

npbscholar.com

 

・Delta公式:詳細のデータが見たい人は要課金。

1point02.jp

 

 

 

 

 

 

*1:余談ですが、競技性を考えるとたった7試合でのワールドシリーズや日本シリーズ、一発勝負のWBCで最強チームを決めるのは運によるブレが大きすぎるような気もしてます。まあそれもエンタメですがね。

よく見るMLB系Youtubeチャンネル

こんにちは

 

ニワカMLBファンです。

今回はこのニワカが普段YoutubeでどんなMLB系のチャンネルを見ているかをお話ししたいと思います。

 

■116 Winsさん

www.youtube.com

日本のMLB系チャンネルといえばと言っても過言ではない老舗のチャンネルです。

MLBに関する書籍の監修もされており、更にマリナーズの現GMと対談動画も出したり、WBCでは公認ストリーマーに選出されるなど第一人者と言ってもよいでしょう。

マリナーズファンで、名前も2001年地区優勝した時の116勝からもじってつけられています。

特徴としてはコアな話題も触れつつ、MLB初心者にも見やすい動画づくり、小ネタ、聞きやすい声、逆神過ぎる順位予想などが挙げられます。

私もMLBを見る前からこの方のチャンネルは登録していて見させていただいておりました。

 

おすすめの動画はこちらです。

youtu.be

 

■MLB Park Japan / サカイ さん

www.youtube.com

こちらは、今私が一番見ているチャンネルの一つと言っていいMLB Park Japan/サカイさん(以降MPJさんとします)です。

MLB全体を網羅するような動画、試合ごとの振り返り、朝の生配信、そして替え歌()とバラエティに富んだチャンネルですが、初心者にとっては一番内容的にとっつきやすく、見やすいチャンネルだと思います。

異様にセンザテーラ投手およびロッキーズに思い入れがあり、とんでもない頻度で替え歌のネタにしているのも特徴です。

毎年の振り返りや開幕前のロースター診断など、初心者にとってありがたい動画が多く、肌感覚的にはプレミアリーグ系チャンネルのプレチャンに立ち位置は似ていると思います。

 

おすすめの動画はこちらです。

youtu.be

 

■センザテーラ さん

www.youtube.com

ロッキーズファンで、暗黒時代ド真ん中の贔屓ロッキーズを自虐するような小ネタが多めのセンザテーラチャンネルさん。

ただ、ロッキーズだけでなくほかのチームもネタにしたり、トピックは意外と豊富です。

解説時にセンザテーラ投手の顔にずんだもんの声をつけて喋らせているので、「ずんだテーラ」などと呼ばれることもあります。

あとはやたら凝った演出でこちらの腹筋を壊しにかかってくるのも特徴です。

 

おすすめの動画はこちらです。

youtu.be

 

 

 

MLBとNPBの違いをニワカが浅く語ってみた

こんにちは。

WBCなどの影響でMLBに興味を持ち始めました。

まだまだ解像度の浅いところは少なからずありますが、NPBをずっと見てきた人間が、MLBの制度を知ってどう違うのかを嚙み砕いてみたのでよかったら読んでいってください。

 

■2リーグ3地区制

まずはここでしょうか。

NPBはセ・リーグ、パ・リーグがそれぞれ6球団ずつの計12球団。

レギュラーシーズンでは同じリーグのチームと25試合ずつ対戦し、パ・リーグのチームとは5月末から6月下旬の交流戦3試合ずつ対戦。

その合計143試合で順位を決めます。

 

MLBはア・リーグ(アメリカン・リーグ)とナ・リーグ(ナショナル・リーグ)が15チームずつで合計30チーム。

更にアメリカは国土が広大なためこのリーグをさらに東地区・中地区・西地区と3つに割ります。

つまり、

ア・リーグ東地区、ア・リーグ中地区、ア・リーグ西地区

ナ・リーグ東地区、ナ・リーグ中地区、ナ・リーグ西地区

の計6つのカテゴリにそれぞれ5チームずつが割り当てられることになります。

これらの詳しい優勝決定の方法は後述の「ポストシーズン」で語っていきます。

 

そして、MLBにはもう一つ特色があり、それは「交流戦」がないという事です。

といってもレギュラーシーズンでア・リーグとナ・リーグの対戦はザラにあります。

ただ、NPBのように決まった期間で他リーグと対戦するわけではなく、レギュラーシーズンのどこかに当たり前のように日程として入れられます。

 

また、1年でどのチームとどれくらい対戦するのかというのもNPBと大きく違います。

例えばア・リーグ東地区のチームの場合ですと

・ 同リーグ・同地区(ア・リーグ東)
13試合 × 4球団 = 52試合


・ 同リーグ・他地区(中地区+西地区)
6試合 × 6球団 = 36試合
7試合 × 4球団 = 28試合
→ 合計 64試合

(※どの球団と6試合・7試合になるかは年ごとにローテーション)

 

・ 他リーグ(ナ・リーグ)
3試合 × 14球団 = 42試合
4試合 × 1球団(固定の“ライバルカード”)= 4試合
→ 合計 46試合


・ まとめ
同地区:52試合
同リーグ他地区:64試合
他リーグ:46試合

合計:162試合

を戦います。

この固定の”ライバルカード”は例えばロサンゼルス・ドジャースだったらロサンゼルス・エンゼルスといったように近隣のローカルライバルになります。


■ポストシーズン

NPBにもポストシーズンがありますし、日本シリーズには大きな権威があります。

ですがそれ以上にNPBでは長いレギュラーシーズンを制覇した球団を評価する傾向にあります。

ですが、MLBはそもそも3地区制で先述のような内容でそれぞれ試合数を重ねていくことから、レギュラーシーズンのみではリーグの優勝を決めることすら出来ません。

そのため、このポストシーズンが非常に重要なカギを握っています。

 

MLBのポストシーズンは、レギュラーシーズン終了後に行われるトーナメントで、全30球団のうち12球団が出場します。仕組みを順番に整理します。

・出場チーム(12球団)

各リーグ(ア・リーグ/ナ・リーグ)ごとに:

地区優勝:3球団
ワイルドカード:3球団(地区優勝以外で勝率上位)

合計:6球団 × 2リーグ = 12球団

 

・ シード(順位付け)

各リーグ内で勝率順に並べて:

1位:地区優勝の中で最高勝率
2位:地区優勝の中で2番目
3位:残りの地区優勝
4位〜6位:ワイルドカード(勝率順)

 1位・2位は1回戦免除

 

・ トーナメント構造
① ワイルドカードシリーズ(1回戦)
3試合制(2勝先取)
組み合わせ:
3位 vs 6位
4位 vs 5位
上位シードの本拠地で全試合開催
② ディビジョンシリーズ(準々決勝)
5試合制(3勝先取)
組み合わせ:
1位 vs(4位/5位の勝者)
2位 vs(3位/6位の勝者)
③ リーグチャンピオンシップシリーズ(LCS)
7試合制(4勝先取)
各リーグの優勝決定戦

 

図にするとこのような形になります。

 

 

地区優勝はあくまでその地区で勝率が一番高かっただけであり、リーグ優勝はこのトーナメントを勝ち抜いて初めて名乗れる資格となります。

NPBは地区に分かれていないので、レギュラーシーズンの勝率1位チームがそのままリーグ優勝となり、ポストシーズンはあくまで「日本シリーズ」という別大会に出るためのものですので、例えば2024年はセ・リーグ優勝のジャイアンツではなくセ・リーグ3位のベイスターズが日本シリーズに出てそのまま優勝というようなことが起こるわけですね。

ですが、MLBの場合だとそもそもこのトーナメントを勝ち抜いたチームがリーグ王者となり、リーグ王者同士でワールドシリーズを戦うことになります。

 

■編成・ロースター

では次にNPBとMLBの編成についてみていきます。

 

まずはNPBですが、NPBは

・支配下枠:最大70人

・一軍登録枠:最大31人

・ベンチ登録枠:最大26人

・育成枠:制限なし

となります。

一軍登録枠とベンチ登録枠の差は投げる予定のない先発ローテ投手や選手の休養、急遽呼んだけどその試合は使わない二軍上がりの選手などです。

 

MLBは

・40人枠:その名の通り40人の枠で、これは後述のメジャー契約/マイナー契約とも関係しますが、大まかに言うとメジャーでプレーをする、もしくは今はマイナーだけどメジャーでプレーをする資格を持つ選手の枠です。

・アクティブロースター:これは最大26人の枠です。NPBにおけるベンチ登録枠と考えてください。NPBと違うのはベンチ外という概念はないので、前日投げたローテ投手でもベンチ入りします。(とはいえワールドシリーズの最後のほうでもない限り投げることはありませんが。)

 

また、マイナー選手の保有にも人数の枠がありますが、長くなるので以下で別途説明します。

 

マイナーの選手保有数は球団ごとに最大165人まで(※一部例外あり)

内訳イメージ
AAA:約28人
AA:約28人
A+(High-A):約28人
A(Low-A):約28人
ルーキー・複数チーム:約40〜50人

合計:150〜165人前後

 

また、マイナー選手にも2パターンあります。

● A:40人枠に入ってるマイナー選手
メジャー契約
すぐ昇格可能


● B:40人枠に入ってない純マイナー選手
完全に別枠
昇格には枠を空ける必要あり

 

Bのマイナー選手はNPBでいう所の「育成選手」に近く、ノーマークだったマイナー選手が急に成長をしてロースターに入れたい場合、40人枠に入っている選手をマイナーに落とすDFAと呼ばれる動きをする必要があります。

 

私より数段賢いAIにこのあたりのルールをまとめてもらいました。(これがあれば長ったらしい文章は不要な気もしますが…笑)

 

 

とつらつら書いてきたわけですが、NPBのように最大70人の支配下枠でカジュアルに上げ下げして戦力運用する世界ではないため、編成で大きな違いがあります。

 

●中4日ローテ

日本では基本的に6人のローテ投手を中6日で回すローテが主流ですが、MLBの枠では先発で6人も固定する余裕がありません。

そのため基本的に5人の投手でローテを回すことになります。

もちろんフル回転する投手ばかりではないため、40人枠にいる投手でかつマイナーでプレーしている投手にも投球機会は巡ってくるわけですが。

 

●野手登板

日本では極めてレアな野手登板ですが、MLBではさほど珍しくもありません。

大差ビハインドの試合でわざわざ貴重な枠から貴重なリリーバーを投げさせるくらいなら、野手を投げさせるというのは合理的でもあります。

 

●ユーティリティプレイヤー

枠が狭いのはなにも投手だけでなく、野手も同じです。

26人の枠のうち、半分の13人が投手(ローテ投手5人+リリーフ投手8人)で、残り13人が野手です。

その為DH含むレギュラー野手9人に控え4人(更にそのうち専門職で緊急時に居ないと困る捕手が2人)となります。

そうなると有事の際であったり、試合展開を見た野手起用に幅を持たせる上でも複数ポジションをこなせるユーティリティプレイヤーの存在は大きくなります。

例えばドジャースであればトミー・エドマン選手のように内外野ほぼ守れる、と言った選手は運用を助けてくれます。

実際MLBでは2022年よりゴールドグラブ賞、シルバースラッガー賞の両方にユーティリティ部門が新設されました。

 

リソースをどう配分してどう勝ちに行くか、という戦略ゲームみたいな面白さがあるのはMLBの特徴だと私は思います。

 

余談ですが、二刀流選手は投手登録しなくてもいいというルールがありまして、現段階ではほぼ大谷選手のためのルールではあるのですが、主軸打者としてチームを引っ張りながら試合で投げる、更にその分の枠は1枠でいいというのは編成上ありがたいなんてものでは済まされないレベルです。

もちろんあのレベルで投打に稼働できる選手が今後現れるかというと疑問ですがね。


■メジャー契約/マイナー契約

日本人選手がMLBに挑戦する際にも時折取りざたされますが、MLBには契約が2種類あります。

メジャー契約:先述の40人枠に入る

マイナー契約:40人枠に入らない

NPBで言うと支配下がメジャー契約、育成がマイナー契約と思ってもらえると一番わかりやすいかと思います。

とはいえ40人枠に入った選手全員が莫大な金額を手にできるわけではなく、若手有望株なんかは一旦メジャー契約にして40人枠に入れはするものの、基本的にマイナーでプレーし、チャンスが来るのを待つといったこともあります。

若手の中でも、まだまだ時間がかかる選手はマイナー契約で40人枠には入れないですし、そろそろMLBでのプレーも見てみたい選手はメジャー契約扱いで40人枠に入れる、と言った形です。

 


■ドラフト制度

MLBのドラフトは、7月に実施されます。

対象:アメリカ・カナダなどのアマ選手(高校生/大学生/ジュニアカレッジ*1)
指名順:弱いチームから(完全ウェーバー)
契約金:スロット制で管理

指名順は完全ウェーバーですが、ドラフト指名の最初6選手に関しては、ポストシーズンに出ていない球団からくじを引いて決めます。

その6選手が終わってから7選手目以降は完全ウェーバー制です。

 

また、契約金に関してもスロット制(ボーナスプール)というものがあり、 各球団に「契約金の総額上限」があり、球団ごとに総額の制約があります。

内訳について縛りはなく、1位指名の選手の契約金を思いっきり弾んでそれ以降はケチったりしても問題はありません。

指名した選手のうち、大半は1年目からすぐMLBでプレーすることはありません。

ポール・スキーンズ投手のようなごくごく稀にいる怪物は別ですが、基本はみなマイナー契約スタートになります。

そのため、NPBとは比べ物にならないほど「入団拒否」がカジュアルです。

実際、現在ソフトバンクでプレーしているカーター・スチュワート・ジュニア投手も高校時代にブレーブスから1位指名(全体8巡目)を受けましたが、契約金などで折り合いがつかずに入団拒否し、彼は日本でプレーする道を選びました。

MLBのドラフトは「戦力」を獲得する場というよりは、「育成する権利」を得る場という感覚です。

 

また、NPBにはない特別なルールも2つあります。

● 補償指名(Compensation Pick)
FA流出があった球団に対して追加指名が認められます。
● 競争均衡ラウンド
小市場球団に対して追加指名が認められます。

 

大体どの球団も20人前後指名し、うち15人ほどが入団してマイナーで研鑽を積むといった形になります。

なので、一部の選手以外は金額がバカ高いだけの育成ドラフトと思ってしまってもいいかもしれません。


■選手獲得手段

MLBはNPBとは比にならないくらい市場が大きく、選手の動きも活発です。

ドラフト以外での選手獲得手段についても書いていきます。

 

・フリーエージェント

NPBと違って宣言制ではなく、自動でFAになるのが特徴です。

また、人的補償や金銭補償もありませんので活発に選手が動きます。

フリーエージェントになった選手のうち、球団がクオリファイングオファー(QO)を出すことがあります。

クオリファイングオファーとは、MLBにおいてFAとなった選手に対し、前所属球団が提示する1年契約の制度です。

金額はメジャー年俸上位125選手の平均額(2025年は2200万ドル超)。

選手はこれを受け入れて残留するか、拒否して他球団と契約するかを選択します。 

もしこのQOを拒否して移籍した場合、所属元の球団は所属先からドラフト指名権を譲渡されます。

 

 

・トレード

トレードは日本でもありますが、MLBだとポストシーズン出場が難しい球団が主力を出して将来のために若手選手を複数人貰う、と言ったことが多いです。

逆も然りで、どうしてもポストシーズンに進出して勝負をかけたい球団が自前の若手を出してでも欲しい選手を取りに行くという動きもあります。

NPBはほどほどのリリーバーであったり、レギュラーになり切れない野手がトレード対象になりがちですが、かなり色が違うのが見て取れます。

 

・ルール5ドラフト

NPBでいう所の現役ドラフトで、制度としてはこのルール5ドラフトを参考にして作ったものです。

ただし、現役ドラフトはまだまだ粗い制度なのに対し、ルール5ドラフトは制度設計が堅く作られています。

 

・対象

40人枠に入っていないプロ入り5年目(18歳以下で契約)または4年目(19歳以上で契約)以上の選手。

・指名順

下位のチームから

・指名した選手の扱い

移籍金は10万ドル。

1年間通してロースターの26人枠に入れ続ける

もし、ロースターに入れ続けなかった場合は5万ドルで元球団に返却

 

となります。

そのため有望株で他球団に指名されたくない選手に関してはどうにかして枠を開けて40人枠に入れるといった動きもあります。

 

 

・DFAされた選手の獲得

DFAは要するに40人枠から外すという動きですが、元々40人枠に入っているだけあって実力的に考えても他29球団から声がかかる可能性は十分にあります。

NPBでも育成落ちを拒否して他球団に支配下で入団するという話は今や珍しくなくなりましたが、似たようなものだと考えると分かりやすいでしょうか。

 

・国際アマチュアFA

簡単に言うとアメリカ、カナダといったドラフト対象になる国以外でプレーするアマチュア選手を獲得するものです。

MLBのドラフトは7月に開催されるため、年度初めと年度終わりが異なる日本の高校生、大学生をその年の7月に指名するというのは不可能です。一応浪人すれば出来ると思いますが…

よくあるのは中南米系の有望選手の獲得です。

ドミニカのスーパースターであるタティスJr選手や、ベネズエラのカルトヒーローと言っても差し支えないセンザテーラ選手は国際アマチュアFAでMLB球団と契約を結び、メジャーリーガーとしての第一歩を踏み出しました。

 

・国外からの獲得

これは言うまでもなくNPBやKBOと言ったMLB以外のプロリーグの選手の獲得です。

ここは主にFAとポスティングになりますが、わざわざ書くほどの事でもないので詳細は割愛します。

 


■選手評価・年俸

MLBのトッププレイヤーは信じられないくらいの巨大な契約で高額な年俸をもらいますが、それは基本的にごく一部です。

MLBはFA権を取得するまでには6年かかります。*2

最初の若手時代はどれだけ活躍してもかなり安く年俸を抑えられます。

例えばドジャースのレギュラーセンターのパヘス選手は素晴らしい活躍ながらたったの77万ドルと、莫大な金額を手にしている諸先輩方に比べると極めて安いです。

そこからメジャー登録日数が3年以上6年未満になると、年俸調停権を手にして、成績に応じて年俸が挙がっていきます。

更に活躍して6年が経過してFAになると活躍度次第では超大型契約が見込まれる可能性もあります。

ただ、時にはFA前の若手を球団が超大型契約で囲う場合もあります。

大谷選手の10年7億ドル契約も凄まじいですが、今年からドジャースに加入したカイル・タッカー選手も4年で2億4000万ドルというとてつもない契約を結んでいます。

 

とはいえこういった高額年俸を受け取ることが出来る選手は勝利貢献度の高さ、いわゆる「WAR」が高い選手です。

打撃専で守備に難のある打者や、リリーフ投手で大きな契約を結ぶことはあまりありません。

実際、MLBで高額な契約をしたリリーフ投手で言うとエドウィン・ディアス選手で、3年6900万ドルですが、これもMLBのトップレベルの先発投手や野手と比べると幾分と安い金額です。

逆にコーナーポジションであってもちゃんと守れる選手*3には高額契約で報います。

そうなるとDHではあるものの守りという観点では投手という究極の守備者として稼働が見込める大谷選手が攻守ともに莫大な貢献をする、という見方はまさにその通りですし、天文学的な契約も理解できます。

 

■まとめ

NPBはNPBの、そしてMLBにはMLBの色があります。

どちらが正しい、間違っているというのはありません。

そもそも人口も違えば国土も違います。

でも私はMLBの制度を知ってみて非常に面白いと感じました。

NPBと比べるとより選手を「資産」として扱っているのがMLBだと私は感じます。

また、流動的な市場により、フロントが戦略的な動きをしやすいのもMLBです。

市場が閉鎖的ゆえに、球団のファンが選手個人単位にも思い入れを乗せやすいのはNPBで、それはそれでいいことだと思います。 

なんなら日本人の気質に合うのはそちらなのかもしれませんし、NPBにも十分慣れているのでその感覚は理解できます。

ただ、スポーツをビジネスとして捉えて戦略を立てていく面白み、その戦略を外から見ながら「ああでもないこうでもない」と勝手に考察させてくれるMLBもまた魅力的なリーグだと私は思います。

あまりリアルタイムで追いかけ続けるのは現実的ではない時間帯で試合が行われることが多いですが、MLBを軽く追っかけてみようと思いました。

 

*1:短大みたいな感じです。

*2:ただしNPBから移籍した選手は契約年数が切れた時点でFAです。なので今永選手は2年でFAになりましたし、村上選手も2年後にFAです。

*3:ゲレーロJr選手やジャッジ選手