プロへのリスペクトとは

こんにちは。

スポーツ観戦を趣味の一つにしていると

「プロへのリスペクト」みたいなワードが話題になることが高確率であります。

要するにプロでもない一般素人が外から見てプロ選手のプレーを評論する、その姿勢はリスペクトに欠けているのではないか。といった内容です。

 

生まれ育ちが関西で、某超人気球団*1のノリを見慣れているので、最初はちょっとそういった風潮に驚かされました。

チャンスで凡退でもしようものなら「アホボケカスゴルァ」の嵐でしたからね。*2

 

ただ、実際プロに対するリスペクトって何なんだろう。

というのは気になりました。

100%信じて擁護し続けることがリスペクトなのか、はたまた違ったスタンスがあるのか…

色々書いていきたいと思います。

 

■学生スポーツ

例えば皆様は学生スポーツ(甲子園でも高校サッカーでも春高バレーでもなんでも)を見ることはありますでしょうか。

私もたまにあります。

そういう時ふと気づくのですが、見る基準をプロと比較して思いっきり下げています。

当たり前と言えば当たり前ですが気づいた時には結構発見がありました。

プロなら「併殺取れて当然」でも高校球児なら「併殺取れたらえらい」

これはある意味プロならそれだけできる、出来て当然という目線で見ているわけですね。

 

話は変わりますが皆さんこの動画見たことありますか?

都立の特別支援学校の生徒たちが高校野球の都大会に初めて参戦するというものなのですが、私はいたく感動したものです。

野球に触れてこなかった子たちがボールを投げてバットを振る姿、素晴らしいの一言です。

実際現地で見ていたわけじゃありませんし、この動画で知っただけですがきっとこの試合を見ていたとしてこの試合に出場していた生徒がフライひとつ取れなくても私は何も思わないでしょう。

 

www.youtube.com

 

とまあこのようにカテゴリによって見る側のスタンスって全然変わってくるんですよね。

 

■若手、ルーキーへの目線

ここまでじゃないにせよ、プロ一年目の新人選手や実績の浅い若手選手に対しても「ある程度出来なくても仕方ない」という目線で見ることが多いのは私だけではないはずです。

今年で言えば横浜DeNAベイスターズの松尾汐恩選手は一軍で打席に立つことすらありませんでしたが、それでも不満を持った方はほぼいないでしょう。

高卒新人としてのハードルは一軍にはありません。

二軍の舞台で十分すぎるほどのプレーを見せてくれた彼に期待していないファンはいないでしょう。

ですが、松尾選手とまったく同じ成績を例えば同じベイスターズの戸柱恭孝選手や伊藤光選手が残したとしたら多分がっかりする人が大半なのではないでしょうか。

彼らくらい実績のある選手の主戦場はあくまで一軍です。

一軍には出られなくてもいいので二軍で打ってくれて成長の糧にしてくれればいいという見られ方をしている松尾選手と、一軍でしっかり結果を残してもらわないと困る戸柱選手、伊藤選手の立ち位置の違いでもあります。

 

■目線の違いは期待度の違い

このように学生スポーツであったり、プロスポーツでも選手によってハードルの高さが違ってきます。

そのハードルの高さ、目線の高さはつまるところ「期待度の違い」です。

ハードルが高く掲げられている選手はそれだけ期待が大きく、ある程度やってくれるだろう、やってくれないと困る。とみられている選手になるのです。

当たり前ですが期待していない、もしくはそこまで過度な期待をかけるような序列じゃない選手*3には自然とハードルを下げてみるようになります。

代表に呼ばれるようなエースFWが年間10得点取れなかったら批判されてもやむなしですが、高卒1年目の選手が年間10得点取れなくて批判する人いませんよね。

 

大前提として誹謗中傷はいけません。

ですが、主力選手がまずいプレーをしたら批判されるのは期待の裏返しです。

逆に批判の一つもされなくなったらそれだけ期待度が低くなったということです。

主力選手やキャリアのある選手に対して、不出来なプレーを痛烈に批判することより、大した期待感を持たずに見ることのほうが彼らへのリスペクトを欠いているように私は感じます。

 

■結論

プロへのリスペクトとは、それぞれの選手に対して適切な期待を持って応援することだと私は考えます。

あまりに期待が低く、どれだけ不出来でも全肯定するのもリスペクトではありません。

主力選手に対して批判を絶対許さないタイプの方もいますが、それはつまり「その程度のレベルの選手だし期待もしていない。」と言い捨てているようなものではないかと私は思います。

そりゃ高卒新人や数合わせのベテラン選手が試合に出て不出来でも批判すんなと私は思いますが、それはあくまで現状の期待値が低いからです。

主力、準主力に同じノリで接するのはリスペクトではなく実力をあまりに低く見積もった侮辱です。

また逆に過剰な期待はリスペクトではなくそれはただの買い被りです。

高卒新人にMVP級の活躍を期待するのは果たして適切なリスペクトですか?という話です。

 

皆さんは贔屓チームの選手に対してどのような期待を持っていますか?

また、贔屓チームに対してどのような期待を持っていますか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

■あとがき

ファミリーだなんだとチームのやっていることを無条件で全肯定し、他人がチームを批判するのを許さない人たちの思考を頑張ってトレースしようとしたけど私には出来ませんでした。

彼らはチームに対してどのような期待値を設定していたのでしょうか。

私にはそこから分かりませんでした。

それこそ彼らにプロへのリスペクトはあるのでしょうか。リスペクトに足るだけの期待値を設定していたのでしょうか。

それとも大変失礼な物言いになりますが、先述した野球にいそしむ特別支援学校の球児たちを見るような目線で贔屓のプロ選手を見ていたのでしょうか。

 

もちろん「自分が批判をしても、表明してもチームに届くわけでもないしやっても意味がない」とある種諦念を持っているがゆえに批判をしない方もいると思います。

それはそれでスタンスとしては自由です。

 

ですが、一つ頭に入れておかないといけないことは、「ファミリー」という言葉はありとあらゆる不出来を肯定する魔法の言葉じゃないということです。

リスペクトと期待感を持っているからこそ、その要求に応えられない選手たちに厳しい言葉が飛ぶのは当たり前のことだと私は思います。

そこを無理に理解しろ、肯定しろとまではいいませんが、せめて静観してあげてもらえないでしょうか。

*1:一時期は教団

*2:正しいかどうかはともかくそれを当たり前と思って育ってきたのは事実

*3:経験の浅い若手選手や数合わせのベテラン