wRC+で見る打者の相対評価 ~打高時代と打低時代の格差~

こんにちは

最近は野球の数字遊びばかりしています。

 

いきなりですが、今年のNPBってとてつもない打低シーズンですよね。

去年も大概えげつないレベルの打低でしたが、今年は更に打低です。

そして打低シーズンがあるということは打高シーズンがあるというわけで、平成以降でおそらくもっとも打高シーズンは2004年だったと思います。

投手レベルが今ほど高くなかったのもありますし、いわゆるラビットボールと呼ばれる飛びやすい球を使用していたことや狭い球場が多かったこともあり、ホームランがバカスカ出まくっていました。

 

私はそこまで若い人間じゃないので、2004年の超打高シーズンに関しても多少の記憶はあります。

当たり前のように各球団に30本を打つ打者がそろっているという今からすると考えられないトンデモ時代でした。

むしろ、私はその時代くらいから野球を見ることが増えたので野球ってそんなもんだと刷り込まれた感すらあります。

 

なので、2004年の.250 20本 OPS.750と2023年の.250 20本 OPS.750じゃ価値が違いすぎるんですよね。

前者は多少長打はあるけど確実性に欠ける大したことない打者。良くて6番

後者はチームの主軸、なんなら4番で使う球団もある

ってな感じです。

 

こうした絶対評価じゃなくて、相対評価として、「その年の中でどれだけ傑出していたか」を示す打撃指標としてwRC+というものがあります。

これの説明は下記リンクに詳しく記載してくれています。

1point02.jp

 

端的に言うと「100を平均として、どれだけ得点を多く生み出せたかの割合」になります。

wRC+が200の打者は平均と比べて2倍の得点を生み出せる力のある選手となりますし、逆にwRC+が50の打者は平均の半分しか得点を生み出せない選手となります。

感覚的に言うと偏差値に近いですね。

めちゃくちゃ簡単なテストで80点とっても偏差値50だったりするけど、とんでもなく難しいテストで40点とって偏差値60みたいな。

 

そんなwRC+ですが、大体基準があって

200 災害級の化け物

180 球界トップレベルの打者

160 リーグ最上位クラスの打者

140 非常に良い打者

120 平均以上の打者

100 平均レベルの打者

80 守備走塁で強みがあれば目を瞑れる打者

60 レギュラーだときつい打者

みたいな感じです。

 

そんなwRC+を見て思ったのですが、2004年と2023年で比較してみたらどんな違いが出るのか気になったのでちょっと調べてみました。

ちなみに調べるのに使ったサイトとしてそれぞれ下記のサイトからデータを拝借しました。

 

2004年

npbstats.com

 

2023年

bo-no05.hatenadiary.org

 

全部出すとあまりにデータが膨大なので最後に出しますが数名の選手を比較してみたいと思います。

 

2004

松中信彦選手 打率.358 44本 OPS1.179 wRC+201

2023

近藤健介選手 打率.303 26本 OPS.959 wRC+200

平成唯一の三冠王松中選手、今見てもとんでもない数字ですが、この時の松中選手の傑出度と、昨年三冠未遂の近藤選手の傑出度はほぼ同等なんですよね。

まあ傑出度で見れば三冠王とほぼ三冠王なので変わらないと言われたら変わらないのも分からなくはないのですが、あまりに見た目の数字が違いすぎますね。

 

2004

ウッズ選手 打率.298 45本 OPS1.007 wRC+145

2023

万波中正選手 打率.265 25本 OPS.788 wRC+146

2004年セ・リーグ本塁打王のウッズ選手、やはりというべきか圧巻の数字が並んでいます。

それに対して昨年大ブレイクした万波選手も素晴らしい数字ではあるものの、単純比較するとウッズ選手にだいぶ劣ってはしまいます。

ですが相対評価だと両名のリーグ内での傑出度はほぼ同じとなります。

OPSで2割以上、本塁打もほぼ倍近く離れているのにこの数字はいかに2004年が狂った打高環境で2023年は逆に狂った打低環境か見えてきますね。

 

2004年
村松有人選手 打率.320 6本 OPS.799 wRC+103
2023年
中野拓夢選手 打率.285 2本 OPS.692 wRC+104

強打者以外の比較ということで、ほぼリーグ平均クラスの指標でどちらかというとチャンスメーカータイプの選手でも比較してみます。

2004年の村松選手は高打率、更に今の感覚で言うと1番打者系としては相当なOPSを残しているように見えますがほぼリーグ平均クラスの打者という評価になります。

昨年の中野選手は阪神の優勝に貢献した素晴らしい選手で、打撃成績も良好でしたが、打率.320 OPS.800近い選手の傑出度とほぼ同等といわれるとあまりに環境の差を感じずにはいられません。

 

2004年
稲葉篤紀選手 打率.265 18本 OPS.758 wRC+86
2023年
木浪聖也選手 打率.267 1本 OPS.653 wRC+85

最後にリーグで平均より下回るスタッツを残した2選手を比較します。

2004年の稲葉選手はヤクルト最終年で、この年のオフにMLB挑戦をしますが頓挫。

その後日本ハムに移籍し、第二の春を謳歌するわけですがそんな稲葉選手は今の環境なら余裕で上位クラスの成績を残しながらも、当時の狂った環境では平均以下となりました。

先述の中野選手と同様阪神の優勝に貢献した木浪選手は、優勝決定後にやや失速してしまい最後は平均以下のスタッツとなってしまいましたが、恐怖の八番打者として指標では表現しきれない勝負強さが光りました。

ただ、この2選手を比べても打撃成績には雲泥の差がありながらもリーグ内での傑出度はほぼ同等で平均以下の下位打線レベルとなってしまっています。

 

長々と語ってきましたが、2023年ですらこんな打低環境なわけでして、そうなると2024年は一体どうなってしまうんだと思いましたし、また2024年シーズンが終わったら同じような比較をやってみたいと思います。

そして改めて2004年のイカれ狂った打者天国を思い出して少し懐かしい気持ちになりました。

 

 

 

おまけ

2004年の規定到達全打者のwRC+

選手名 打率 本塁打 打点 出塁率 長打率 OPS wRC+
松中信彦 0.358  44 120 0.464  0.715  1.179  201
城島健司 0.338  36 91 0.432  0.655  1.087  178
ラロッカ 0.328  40 101 0.425  0.677  1.102  168
セギノール 0.305  44 108 0.413  0.657  1.070  164
ベニー 0.315  35 100 0.426  0.617  1.043  163
和田一浩 0.320  30 89 0.425  0.607  1.032  158
小笠原道大 0.345  18 70 0.449  0.549  0.998  157
阿部慎之助 0.301  33 78 0.391  0.625  1.016  155
小久保裕紀 0.314  41 96 0.372  0.641  1.013  152
金本知憲 0.317  34 113 0.406  0.589  0.995  151
ウッズ 0.298  45 103 0.394  0.613  1.007  145
高橋由伸 0.317  30 79 0.387  0.580  0.966  144
ペタジー 0.290  29 84 0.409  0.561  0.970  144
ズレータ 0.284  37 100 0.389  0.567  0.956  142
井口資仁 0.333  24 89 0.394  0.549  0.943  141
多村仁 0.305  40 100 0.363  0.624  0.986  141
福留孝介 0.277  23 81 0.367  0.569  0.936  141
岩村明憲 0.300  44 103 0.383  0.583  0.966  139
ローズ 0.287  45 99 0.378  0.577  0.955  139
礒部公一 0.309  26 75 0.391  0.532  0.923  133
嶋重宣 0.337  32 84 0.389  0.560  0.949  133
谷佳知 0.317  15 63 0.387  0.513  0.900  125
フェルナンデス 0.285  33 94 0.357  0.526  0.883  121
福浦和也 0.314  11 73 0.381  0.466  0.847  120
バルデス 0.279  18 74 0.388  0.456  0.844  120
前田智徳 0.312  21 70 0.355  0.541  0.895  119
今岡誠 0.306  28 83 0.361  0.503  0.865  119
ラミレス 0.305  31 110 0.341  0.547  0.888  119
北川博敏 0.303  20 88 0.382  0.474  0.856  118
貝塚政秀 0.307  14 75 0.360  0.497  0.858  117
中村紀洋 0.274  19 66 0.390  0.468  0.857  117
アレックス 0.294  21 89 0.369  0.469  0.839  117
高橋信二 0.285  26 84 0.345  0.535  0.880  116
古田敦也 0.306  24 79 0.365  0.503  0.868  116
フランコ 0.278  16 65 0.363  0.476  0.839  115
佐伯貴弘 0.322  19 57 0.376  0.488  0.864  115
緒方孝市 0.292  26 64 0.360  0.515  0.875  115
中島裕之 0.287  27 90 0.349  0.504  0.853  112
桧山進次郎 0.306  18 84 0.352  0.481  0.832  110
オーティズ 0.289  24 71 0.352  0.499  0.851  109
アリアス 0.272  25 84 0.326  0.522  0.848  109
SHINJO 0.298  24 79 0.327  0.508  0.835  106
村松有人 0.320  6 51 0.371  0.427  0.799  103
清水隆行 0.308  16 60 0.338  0.458  0.797  101
仁志敏久 0.289  28 60 0.329  0.475  0.804  101
シーツ 0.284  23 85 0.347  0.472  0.820  101
井端弘和 0.302  6 57 0.367  0.395  0.762  100
宮本慎也 0.301  11 26 0.349  0.436  0.786  100
種田仁 0.300  8 52 0.358  0.439  0.797  99
水口栄二 0.293  6 40 0.374  0.391  0.765  98
鈴木健 0.289  15 65 0.350  0.430  0.780  97
川崎宗則 0.303  4 45 0.359  0.387  0.746  95
堀幸一 0.261  14 51 0.343  0.416  0.758  95
立浪和義 0.308  5 70 0.364  0.384  0.749  95
石井琢朗 0.295  10 43 0.351  0.422  0.773  93
金城龍彦 0.302  13 52 0.349  0.422  0.771  91
平野恵一 0.279  6 39 0.340  0.411  0.751  89
谷繁元信 0.260  18 68 0.332  0.419  0.751  89
木元邦之 0.285  9 62 0.349  0.390  0.739  88
矢野輝弘 0.285  11 65 0.338  0.408  0.747  88
大村直之 0.303  2 34 0.356  0.373  0.729  87
赤星憲広 0.300  0 30 0.356  0.356  0.712  86
稲葉篤紀 0.265  18 45 0.310  0.449  0.758  86
赤田将吾 0.259  9 41 0.335  0.390  0.725  85
阿部真宏 0.247  7 50 0.331  0.368  0.699  78
石原慶幸 0.288  6 35 0.336  0.389  0.725  76
荒木雅博 0.292  3 44 0.322  0.349  0.671  73
金子誠 0.256  3 39 0.320  0.334  0.654  70
藤本敦士 0.257  5 33 0.308  0.343  0.650  66

 

2023年の規定到達全打者のwRC+

選手名 打率 本塁打 打点 出塁率 長打率 OPS wRC+
近藤健介 0.303  26 87 0.431  0.528  0.959  200
岡本和真 0.278  41 93 0.374  0.584  0.958  182
宮﨑敏郎 0.326  20 71 0.395  0.539  0.934  178
柳田悠岐 0.299  22 85 0.378  0.484  0.861  174
森友哉 0.294  18 64 0.385  0.508  0.893  172
大山悠輔 0.289  19 78 0.403  0.456  0.859  171
頓宮裕真 0.307  16 49 0.378  0.484  0.862  165
浅村栄斗 0.274  26 78 0.368  0.462  0.829  161
坂本勇人 0.288  22 60 0.361  0.524  0.884  161
佐藤輝明 0.263  24 92 0.339  0.498  0.837  159
牧秀悟 0.293  29 103 0.337  0.530  0.867  154
村上宗隆 0.256  31 84 0.375  0.500  0.875  154
サンタナ 0.300  18 66 0.360  0.484  0.844  148
近本光司 0.285  8 54 0.379  0.429  0.809  147
万波中正 0.265  25 74 0.321  0.467  0.788  146
中川圭太 0.269  12 55 0.334  0.417  0.751  137
細川成也 0.253  24 78 0.326  0.454  0.780  136
マルティネス 0.246  15 66 0.338  0.425  0.763  136
辰己涼介 0.263  9 43 0.341  0.385  0.726  129
大城卓三 0.281  16 55 0.341  0.446  0.787  129
外崎修汰 0.260  12 54 0.338  0.400  0.738  121
マキノン 0.259  15 50 0.327  0.401  0.728  120
坂倉将吾 0.266  12 44 0.347  0.410  0.757  120
ポランコ 0.242  26 75 0.312  0.450  0.762  119
西川龍馬 0.305  9 56 0.337  0.423  0.760  117
小深田大翔 0.258  5 37 0.328  0.331  0.659  112
秋山翔吾 0.274  4 38 0.332  0.374  0.706  112
野村佑希 0.236  13 43 0.309  0.383  0.692  111
松本剛 0.276  3 30 0.332  0.333  0.665  110
林勇 0.279  3 31 0.324  0.365  0.688  109
紅林弘太郎 0.275  8 39 0.318  0.377  0.695  109
山口航輝 0.235  14 57 0.310  0.385  0.695  109
佐野恵太 0.264  13 65 0.323  0.388  0.711  107
中村晃 0.274  5 37 0.351  0.337  0.688  107
中野拓夢 0.285  2 40 0.349  0.343  0.692  104
オスナ 0.253  23 71 0.308  0.437  0.745  104
今宮健太 0.255  9 48 0.299  0.369  0.669  97
安田尚憲 0.238  9 43 0.318  0.361  0.678  96
石川昂弥 0.242  13 45 0.282  0.394  0.676  96
吉川尚輝 0.256  7 36 0.308  0.367  0.676  94
桑原将志 0.252  7 35 0.301  0.373  0.674  93
宗佑磨 0.245  2 22 0.309  0.313  0.622  90
関根大気 0.261  4 31 0.308  0.334  0.642  88
大島洋平 0.289  0 23 0.316  0.334  0.650  88
ノイジー 0.240  9 56 0.295  0.328  0.623  87
菊池涼介 0.258  5 27 0.310  0.330  0.641  87
木浪聖也 0.267  1 41 0.320  0.333  0.653  85
中村奨吾 0.220  11 48 0.299  0.330  0.629  83
長岡秀樹 0.227  3 35 0.281  0.294  0.575  50