立浪監督の3年間を他ファン目線で勝手に語ってみた

こんにちは。

セ・リーグペナントレースも無事終わりました。

ポストシーズンはまだありますが、ひとまずは143試合の長丁場を戦い抜いた各球団に「お疲れ様でした。」と言いたいです。

 

そんな中、セ・リーグでは阪神の岡田監督と中日の立浪監督の退任が発表されました。

岡田監督は元々高齢だったこともあり、そこまで長くはしないだろうという見方もありましたが、球団に日本一をもたらし、今年も優勝は出来なかったものの2位という結果で監督業から身を引くことになりました。*1

立浪監督は大きな期待を寄せられながらも、3年連続最下位と苦しい結果に終わってしまい自ら「けじめをつける」という事で退任を選びました。

 

ネット上ではあることないこと書かれたり、ネタにもされた立浪ドラゴンズの3年間でしたが、いち野球ファンかつ非中日ファンの私がみた立浪監督について書いていきたいと思います。

 

■打つほうは実は何とかできつつある

立浪監督を語るうえで欠かせないのは「打つほうは必ず何とかします。」という監督就任時に語った言葉です。

その言葉とは裏腹に就任初年度から貧打、得点力不足に苦しみ続けた印象はありますが、私個人の意見として、確かに1年目はかなり貧打に苦しんでいましたが今年はかなり整備できていい野手を揃えることが出来つつあるのではないか、と思います。

立派な中軸となった細川選手、不動のトップバッター岡林選手に加え、今年は福永選手と村松選手が主力と呼ぶにふさわしい数字を残しました。

また、まだまだ物足りないかもしれませんが石川選手も十分期待できる数字を残せているように思いますし、田中選手も走力と守備力でチームに多大な貢献をしました。

中日はどうしても屈指のピッチャーズパークであるバンテリンドームの影響で主力打者の成績の見栄えが良くないことが多いのですが、wRC+で見ると特に細川選手と福永選手はリーグ最高レベルの打者であることが伺えます。

賛否はありましたし、実際この後触れますが立浪監督の時に行った二遊間の選手を数多く獲るドラフトで獲得した選手たちの力によって、チームの野手はかなり活性化されて未来は明るくなったと私は思います。

勿論ドラフトにおいてどこまで立浪監督の意向が反映されていたかは分かりませんが。

 

■実は怪しい先発投手陣

反面、強みと思われ続けていた投手陣は実は結構怪しいところがあります。

高橋宏斗投手は文句なくチームの大エースですが、彼ほどの投手であれば早期のMLB挑戦リスクはありますし、あと保有できるのは3年程度という見方もできます。

高橋投手以外の先発陣は奪三振率がかなり落ちている小笠原投手*2や柳投手、年齢的にフル稼働が難しくなりつつある大野投手と涌井投手といった不安定な面々になります。

また、エース候補として期待されていた梅津投手や仲地投手もまだ戦力として一人前になりきれてはいないのかな、というのが個人的な認識です。

とはいえ育成出身の松木平投手の台頭であったり、あまりに鉄壁すぎるくらい鉄壁のリリーフ陣から1人、2人ほど先発に配置転換するといった手当なども考えられなくはないのかなと思いますが、全体的に投手はプロスペクトも主力級もどちらも質も数も足りていない中、広いドームとある程度堅い守りでなんとか見れる数字にしているだけであり、今後を見据えると手を付けないといけません。

 

■崩れた編成のバランス

先述した野手の建て直しにおいて、二遊間の選手を多く集めたドラフトを敢行しましたが、この二遊間ドラフトによってチームの編成バランスが崩れてしまったのは気になるところです。

勿論二遊間はチームの要となるポジションですし、1人の選手に全ベットして育てるようなリスキーなことはすべきではないのですが、それにしたって二遊間の選手を多く獲りすぎてダブらせているのはあまり良いこととは言えません。

元々龍空選手、京田選手、阿部選手と1軍で主に3人の選手を使いつつ、スクランブル的に高橋周平選手に二塁を守らせたりしていましたが、京田選手と阿部選手をトレードで放出し、その年のドラフトで村松選手、濱選手*3、田中選手、福永選手を獲得。

更に翌年には津田選手、辻本選手を上位指名し、二遊間を溢れさせてしまいました。

この中で福永選手は打撃に強みを見せ、三塁手として素晴らしい成績を残しましたが、ほかの選手はみなあまり長打がなくて足は速くて守備はそれなり以上といった似たタイプばかりで、リスクヘッジとしてもちょっと多すぎる感は否めないなと思います。

更に他球団からリリースされた山本泰寛選手、板山選手も二遊間で起用したり、育成契約のキューバ人選手であったロドリゲス選手も早々に支配下に上げて起用するなど、あまりに二遊間偏重の野手編成となってしまいました。

逆に中軸候補と呼べる若手野手はすでに一軍戦力の石川選手、一軍に定着しつつあるブライト選手、二軍でも粗さが残っている鵜飼選手くらいしかいない状況であるため、これも是正しないといけませんが、先述の通り投手も苦しい状況であるため、このあたりの編成バランスの歪みは指摘されても仕方ない、と思います。

 

■厳しかった運用・選手起用

試合を見ながら、どうしても「うーん」と思う起用は正直言うとどのNPB球団にもあります。

今年優勝したソフトバンクや巨人ですらそういった側面はありますし、NPBの監督というのはただ外から見てちょっとセイバーメトリクスを齧っているファンには見えない事も見えているという事はあると思います。

ただ、立浪監督の選手起用や運用はそれを差し引いてもちょっと疑問符が付くものが多すぎました。

具体例を挙げても仕方ない(というか探せばいくらでも出てきそう)ので割愛しますが、このあたりの用兵はあまりに拙かったと感じます。

勿論ここをキチンとしていた所でどこまで勝てたかは分かりませんが、少なくとも3年連続最下位ということにはならなかったのではないかと思いますし、特に今年のような絶対的なチームがないシーズンならCS争いは十分演じることが出来たのではないかなとは思います。

そういった意味だと立浪監督は決して「チームを勝たせる」力を持った監督とは言えなかったという評価にどうしてもなってしまうのは仕方のないことでしょう。

 

■結論

私は中日ファンではないので、中日が強くなっていってほしいと切に願うような立場ではありませんが、外から見ていて中日は今後かなり強くなれそうに思いますし、そうなったとして立浪監督が何も寄与していない、という事はないと思います。

ただ、3年間ずっとチームを勝たせられなかったのも立浪監督の力量によるものですし、おそらく球団も本人も再登板という考えには至らないでしょう。

チーム一筋の英雄が「無能」の烙印を押されてチームを去るのはどんなチームであろうが非常に悲しいことではありますが、せめて中日ファンの皆様が「あの頃の苦しかった立浪政権にも意味はあったのかもしれない」と思えるようなチームになれたら多少は中日ファンも立浪監督も報われるのかもしれない、なんてことを思いました。

 

*1:流石に3度目の登板はないと思っていますがどうでしょう。

*2:MLB挑戦志望らしいので来期居るかも怪しくなってきました。

*3:今は外野コンバート