近年のドラフト傾向

こんにちは

 

そろそろアマチュア野球を現地観戦する経験をしてもいいかもしれないと思い始めています。

今回は、近年のドラフトの傾向について書いていきたいと思います。

 

●全体感

まず、出力や身体能力といった先天的な要素にフォーカスすることが多くなったように感じます。

育成メソッドの進歩であったり、情報が簡単に手に取れる時代だからこそ、技術面は後からどうとでもなる、まずは素材を確保するという思考が見えてきます。

各球団ごとに育成させやすいカテゴリの選手は異なりますが、それぞれの球団が「今は粗くても、ここをチューニングすれば活躍できる」という見立てなんだろうなと思います。

また、良くも悪くもポジションや出身での人気不人気はなくなったのかなと思います。

一昔前だと投手偏重で、野手でも特に外野手は「いつでもコンバートできる」みたいな風潮もあり、上位指名は少なかったのですが、近年はそんなことがなくなってきています。*1

また、独立リーグの選手であっても上位指名される事例も見られるようになりましたし、有名校や中央球界の選手じゃなくても偏見なしに素材の良さを買った指名は増えていると思います。

 

●投手

シンプルに出力重視、あとは高校生であれば身長も見ている球団は多いように感じます。

ヤクルトの石川雅規投手は当時2001年ドラフトの逆指名で入団するくらいのドラフトの目玉選手でしたが、石川投手くらいのスペックの投手は果たして今だとどんな順位になるのだろうか、ということは気になります。

もちろんトレーニング自体が進化しているため、同じスペックであっても球速は幾分早くなっている可能性もあるとは思います。

近年のドラフト1位右腕で最速が150キロを超えなかったの、2021年の達孝太投手(天理高校日本ハム)だけで、ほかの右投手はみな最速150キロは超えていました。*2

ある程度スピードが出るのは前提、そもそもスピードを上げることが出来るトレーニングが確立されているという時代もあり、スピードの出せない投手は敬遠されつつあります。

また、高校生投手だと全部が全部そうではないにせよ、身長180センチ後半以上の大型投手が人気を得つつあります。

一昔前と比べると栄養学の発達もあり、選手自体のサイズが大きくなってきており、それだけ出力を出せるエンジンを積んでいるとも言えます。*3

全体的に伸びしろ、エンジン重視になりつつある、そんな傾向を感じます。

もちろん今でも「即使える」といった投手の人気がガタ落ちしているわけではありませんけどね。

 

●野手

まず、驚くほどに人気が落ちているカテゴリは社会人の捕手です。

2019年の柘植選手を最後に1人たりとも指名がありません。

じゃあその間、一人もプロレベルの選手がいなかったのかといわれると私としてはそんなこともなかったと思います。

ただ、プロとしてはある程度完成されて良くも悪くも型が出来てしまっている社会人の捕手より、まだ伸びしろが大きい高校生捕手を鍛え上げたいという思想なのかなと思いますし、そこは理解できます。

実際高校生捕手だと守備が厳しくなってもある程度打てればコンバートの目もありますからね。

今年はプロでもある程度上位指名までありえそうな社会人の捕手が2人いますが果たしてどうなるか見ものです。

 

また、打撃ツール以外の武器がない選手の人気はかなり下がっていると思います。

いわゆる"大砲"と呼ばれる類の選手ですが、今のプロ野球でも「打つだけ」の選手は一部の外国人を除けば少なくなっており、例えば万波選手のようにアスリートとして走守でも質が高かったり、村上選手もシーズン2桁盗塁できるくらいの足と捕手をやっていただけあって肩は強いです。*4

佐藤輝選手も身体能力が高く、牧選手や岡本選手は足はそこまで早い選手ではありませんが強肩です。

森友哉選手は言うまでもなく捕手が出来る選手であり、打撃だけでないことは明確です。

 

この打撃ツールだけの選手不人気が顕著だったのは昨年のドラフトだと思っていて、1位候補とまで言われていた真鍋慧選手(広陵高校大阪商業大学)が4位までの順位縛りで引っかからずに大学に進学、またほかにも注目のスラッガーとして期待をされていた佐倉侠史朗選手(九州国際大附属高校→ソフトバンク)および小笠原蒼選手(京都翔英高校→DeNA)がどちらも育成3位での入団となりました。

一昔前なら4位とか5位でも獲れたかわからないような選手がここまで流れ込んでくるのは近年の人気、トレンドによるものが大きいのかなと思います。

 

逆に言えば打撃以外をちゃんと磨いてあげられる自信がある球団なら、打撃一本槍の高校生や大学生を下位から育成で引っ張ってきて主力にすることでかなり利得を得られるとも言えますね。

 

そんなわけで近年のドラフト傾向をまとめていきましたが、こうなってくると逆に傾向をぶっ壊してしまうくらいの尖った素材も見てみたいな、なんて思ったりします。

 

*1:昨年の度会選手3球団競合は記憶に新しいですね。

*2:記憶違いだったら教えてください。達投手は当時最速149キロだったように記憶しています。

*3:逆に178cmであれだけとてつもない球を投げていた山本由伸投手は恐ろしいですね。

*4:守備技術は…ですが