こんにちは
珍しくシーズン中盤で優勝の芽が途切れたシーズンになりましたゆえ、もうマリノス周りの移籍情報がちらほら出回り始めました。
そんな中、特に話題を呼んだのは以下の報道でしょう。
2019年の優勝に貢献し、2020年まで在籍していた朴選手の獲得報道です。
いまだサポーター人気も根強い朴選手なだけに、喜びの声もあれば、本当にそれでいいのか、と訝しむような声も少なからず見られました。
そこで、私なりにこの獲得はどういった意味合いを持つのか、そもそも補強としてどれだけ有効なのかを考察してみたいと思います。
もちろん、大前提として移籍が決まったわけではありません。
ここから朴選手が鳥栖に残留したり、マリノス以外のクラブに移籍する可能性も十分あります。
それらは理解したうえで以下を読んでいただけると嬉しいです。
■現状のGKスカッド事情
おそらくJ1で最もGKが落ち着かないチームがマリノスでしょう。
実際、21、22年は高丘選手、23年は一森選手、24年はポープ選手と飯倉選手の併用といった形で普通なら数年間は固定されていておかしくないはずのポジションがグラッグラに揺れ動いていました。
特段理由を語るつもりもないですし、9割がた高丘選手の当時の移籍タイミングが悪いということで結論付けてよいものだとは思っているので割愛させていただきますが、とにかく最後尾の砦が安定しなかった。
特に今年はベテランで稼働に不安があり、なおかつピークアウトは否めない飯倉選手と、マリノスのサッカーにあまり馴染めずミスも多かったクラシカル寄りなポープ選手の2枚看板ということで、例年と比べても苦しい部分は多かったです。
また、3番手4番手の序列だった白坂選手、寺門選手についても数少ない出番ではありましたが、正直未来の守護神といった期待を持つのはかなり難しいレベルだったように私は見えました。
チーム戦術に馴染めず、なおかつパニック障害を抱えながらのプレーを余儀なくされるポープ選手と、いつ引退してもおかしくない事実上の兼任コーチといってもよい飯倉選手で正GKの座を争うのはJ1でタイトルを狙うのならばちょっとハードすぎると思います。
そういう意味でマリノスには明確な正GK候補が必要な状態でした。
■未来のGKスカッド事情
そしてマリノスはつい先日、とある大学生を在学中にプロ契約することになりました。
木村凌也選手
マリノスのアカデミーから日本大学に進み、世代別代表を経験し大学No.1GKとして名をはせた逸材が再びトリコロールに身を包み、私たちと戦ってくれる事を決断してくれました。
また、現在J3のカターレ富山に所属している田川知樹選手もJ2昇格まであと一歩のチームで絶対的レギュラーとしてポジションを確立しています。
このように期待値の高い2名のプロスペクトを事実上保有しているわけですが、とはいえGKは経験がモノをいうポジションであり、プロスペクトとはいえすぐにレギュラーになれるとは限りません。
実際、元日本代表のシュミット・ダニエル選手がプロとして明確に居場所をつかんだのは大卒2年目でJ2のロアッソ熊本にレンタル移籍していた時で、もっと言うとそこからJ1でポジションをつかめたといえるのはプロ4年目の2017年でした。
そんなGKというポジションで木村選手も田川選手も実績を引っ提げていきなりマリノスのGKとして活躍できるか、というと私は流石に様子を見たほうが良いと思っています。
そういう意味では、現有戦力はかなり厳しく、未来の戦力は期待値が高いというのが今のマリノスのGK事情と言えますし、この2つを繋ぐ架け橋のような即戦力が求められるだろうと思っていました。*1
■朴選手にかかる期待
当然ながら正GK候補筆頭としての期待になるでしょう。
木村選手は未知数ですが、未知数の大学生ルーキーに全ツッパしていいことなどありません。
まずは朴選手がレギュラーとして計算が立つ、計算を立てられる状態になってもらうことが後ろの安定にもつながると思います。
また、朴選手はやはりメンタリティの素晴らしさが挙げられます。
朴選手自身かなりの苦労人で、中々日の目を見ないサッカー人生を送ってきただけあって数々のメディアで見られるコメントの一つ一つに重みがあります。
サガン鳥栖の中ではチームメイトに檄を飛ばすシーンもありましたが、本当に内容が濃く、このようなベテランはまず大事にしないといけないと感じさせられるシーンでした。
そういう意味では戦力のみならず、人間性、メンタル面でチームがもっと「戦う顔」をするために必要な人材だと思います。
また、朴選手は在籍は長くありませんが強かったマリノスを知っており、密度の濃い経験をしてきた選手です。
「マリノスはこんなもんじゃないだろ」
「このチームがこんな戦い方、こんな成績でいいのか」
という強烈なメッセージを発信でき、なおかつプレーにも説得力のあるベテランとなると彼くらいしか適任者は見当たらないでしょう。*2
■獲得に対する懸念の声
とはいえ、朴選手の獲得に対して肯定的な意見ばかりではありませんでした。
例えば
「結局GKの世代交代を先延ばしにしている」
であったりとか
「かつて手放した選手に復帰要請するのは、安易な選択なのではないか」
などです。
また
「新しい監督がボール保持に注力するとも限らない」という意見もありました。
正直言わんとすることが全く分からないわけではありません。
一理あると思います。
ただ、GKの世代交代という観点から見ると現有戦力で白坂選手や寺門選手に将来の主力として期待するのは無理筋だと思いますし、なんならいずれ木村選手ないしは田川選手に最後尾の砦を禅譲するためにも今、力のある選手が必要な状況です。
結果的に木村選手が突き抜けてポジションを取ってしまうならそれはそれでよいことですが、最初からそれをあてにして編成すべきではないというのが私の考えです。
また、ポープ選手は能力自体は高いですが、今年一年間を見させてもらったうえで「正GK」として考えるのは後述の点からも危険だと思います。
また、かつて保有していた選手に復帰要請したことを懸念するのは分からなくもないです。
飯倉選手のようなパターンであればまだしも、かつてのような期待であったりファンからの支持に応えきれる選手は少ないです。
ただ、朴選手の場合マリノスでプレーしていた頃と比べると鳥栖で絶対的レギュラーとして活躍し続けており、経験値も実力も更にバージョンアップしているとみるべきでしょう。
例えば朴選手以外だとよく人気銘柄として名前が挙げられているのは新潟の小島選手ですが、私は彼くらいの年齢の選手は怖いです。
いつ「海外に行きたい」と言い出すか分かりません。
No more 高丘ショックです。
そして、監督が決まってもいないのに朴選手の獲得はいいのか、といった意見ですが、まずここからは多分に私の想像が入っているのをお許しください。
欧州の守備重視監督で、本当にガッツリバス停めする監督もいますが、多くの欧州系監督は最低限のビルドアップ能力は期待していると思います。
何故ならロティーナ監督時代のセレッソやヨンソン監督時代の清水はビルドアップの放棄はしていませんでした。
例えばロティーナセレッソは守備ばかり言われていましたが、実際当時2CBを組んでいた瀬古選手とヨニッチ選手はビルドアップにも長けており、組み立てはそれなりの質でしたし、キムジンヒョン選手は素晴らしいキックの質でチームに時間とボールを届けていました。
守備重視でもビルドアップを放棄して蹴りこむと、余程の質が前線に無い限りすぐにボールが返ってきてしまうため、結果として守備機会が増えて失点のリスクにつながります。*3
そういう意味では味方に時間を届けられないポープ選手はショットストップやハイボール処理に長けていたとしても果たして朴選手より優先されるか、というと私はされない可能性が高いと思います。*4
■私の考え
大げさな言い方になるかもしれませんが、朴選手の獲得はガチで「神の一手」だと感じました。
正直想像もしていなかったので驚きは強いですが、実力やメンタリティ、そして将来を担う可能性のある若手選手との年齢差もろもろを考えてもこれ以上ない選択肢でしょう。
勿論朴選手だけを獲得してもチームが一気に好転するとは思いませんが、近年のあまりに渋すぎる補強で特にバックラインの質がガタ落ちしてしまい、数多くの勝ち点を取りこぼしまくったことを考えると彼の獲得と木村選手の内定を皮切りに特にバックラインを中心に大きくスカッドを入れ替えてくれたらいいな、と感じています。