プロ野球において投手を評価するときの評価観点

こんにちは
もうすぐNPBのシーズンも閉幕するということですが、投手を評価する時に私が見ているところは何か、逆に見ていないところは何か。
またその理由についても語っていきたいと思います。

 


■重要視しない指標

 

・勝利数、敗北数、勝率
勝敗はあくまで援護の有無など自力ではどうにもならないところでの要素が大きすぎるので参考にはしません。
勝利数の多い先発は「それだけ勝利がつくまで投げている」という観点からすると優秀ではあるので、優秀なイニングイーターかどうかの判別くらいにはなるかと思います。
事実過去数年単位でのセパ最多勝利投手を見ていると大体がイニング消化の面でも相当優秀な投手ばかりでしょう。

 

・被打率
一見重要そうに見えますが、安打というのは本質的には一定の確率に収束していくと言われています。
その為、極端に被打率が低い投手は優秀である以上に極めて打球運に恵まれていることが大半です。*1
野手は各個々人のスキルで平均の打率は変わりますが、投手は統計的にインプレー打球が安打になる割合はスキルの差がないそうです。

極端ですがMLBで定期的に起こる野手登板であっても本職の投手と比べて大差がないそうです。

 

防御率
こちらも結局安打を打たれるか打たれないか、というところから自責点に繋がったり繋がらなかったりするので、見た目や肌感覚ほど投手の実力を表しているかというと今一つそうとも言い切れないと考えています。
また、失策が起こるとそれに付随した失点が自責点にならず防御率に反映されないということですが、この失策認定も結局記録員のさじ加減で決まりますし、失策にはならない不味い守備なんてのはいくらでも起こるので、参考程度で良いのではないでしょうか。

 

・WHIP
多少野球に詳しくなった人がまず最初に気にする指標ですが、これも結局1イニングあたりにどれだけランナーを出すか、ということなので被安打という運ゲーが絡んでくるので実は当てになりません。
とはいえ四球が少ない選手はこの値も少なくなるので、制球が安定している投手を評価するくらいなら使えなくもないとは思います。

 


■条件次第で重要視する指標

 

・投球回
私の基本スタンスとして所謂オールドスタッツと呼ばれるものはあまり気にかけませんが、とはいえ投球回に関しては”先発投手の稼働”を評価するうえではこれ以上ないと思います。
内容が優秀でもイニング消化に難のある先発投手はチームにとって武器であると同時に不安要素でもあります。
それに比べると安定してイニングを消化できる先発投手は計算が立てやすく、残したスタッツ以上の価値があると個人的には思っています。
ちなみにですがリリーフの投球回は何の意味もないので見ません。

 

・被本塁打
長期的視点に立つと、被本塁打率も投手の実力なりに一定の割合に収束するとは言われていますが、とはいえ当該シーズンの貢献度を見る上で被本塁打率の多寡を無視することは出来ない、というのが私のスタンスです。
要するに被本塁打というのは「投手の実力+運」の両方からなるもので、後者の運の揺らぎは無視していいものですが、とはいえ前者の投手としての実力は見れるものですし、まったく無視していいものではなく、ある程度重視すべきだと考えます。
また、広い球場を本拠地としている投手はどうしても少なくなりがちなので、そこはある程度頭に入れておかないといけないとは感じます。

 


■重要視する指標

 

・ゴロ率
基本的に投手がコントロール出来る打球はゴロかフライかだけ、といわれます。
例えば強い当たりを打たれることが多い少ないといったところは打者次第なため投手では関与できないと言われます。
また、ライナーも再現をもって打たせたり、逆に打たれたりすることはないと言われます。
回転の多い真っすぐを駆使して空振りを奪える投手は比較的フライが多く、癖球を操る投手はゴロが多い、とは言われますが別にそれが全てではありません。
例えば阪神の高橋遥人投手は奪三振能力が極めて高いのに、ゴロ率も高いです。
ではこのゴロとフライ、どちらがより好ましいかというと基本的にゴロを打たせるのが好ましいと言えます。
単純にゴロ打球の得点期待値とフライ打球の得点期待値に大きな開きがあるからです。
ゴロ打球は良くてライト線やレフト線を抜けた二塁打が関の山で、状況次第では併殺もあり得ます
ただ、フライ打球は本塁打もさることながら長打の期待もありますし、ランナーの走塁判断によるもの以外での併殺もありません
そのため、打たせて取るといってもゴロが多い投手は再現性が高く打たせて取れますが、フライが多い投手は一歩間違えると滅多打ちを食らう恐れもあります。
その為、ゴロ率が高い方が好ましいとされています。

 


■最重要な指標

 

・K%
対戦打席のうちの三振の割合。
高いほど三振を多く奪う投球をしていることを意味する。

・BB%
対戦打席のうちの四球の割合。
低いほど四球を与えない投球をしていることを意味する。

・K-BB%
対戦打席あたりの奪三振割合から対戦打席あたりの与四球割合を引いたもの。
1打席あたりで四球に比べて奪三振が何パーセントポイント多いかを表す。

 

一気にまとめて紹介しますが、上記3指標を複合的に見ることが私は多いです。
投手の力量を測るうえでは三振がどれだけ取れるか、また四球がどれだけ少ないかが一番重要だと考えています。
先述のゴロ率で、投手がコントロールできる打球はゴロかフライかだけで、強い当たりを打たれるかどうかやどこに打球が飛ぶかまでは対応できません。
その為、確実にアウトが取れる三振が多い投手、そして確実にランナーを出してしまう四球が少ない投手であることがより優秀な投手と言えます。

 

似た様な指標に
K/9(奪三振率)、BB/9(与四球率)、K/BBがありますが、こちらを使わない理由は機会があればいずれまた。


■結論


投手は
・三振が多く取れて
・四球が少なくて
・ゴロ打球が多くて
・被本塁打が少ない
この4要素を兼ね備えていればいるほど優秀と言えます。
その中でも特に再現性が高いのは三振と四球になります。


そして先発投手に限ると
・イニング消化能力が高い
ことも評価点として挙げられます。

 

長いシーズン、離脱なくイニングを投げぬくことはそう簡単ではありません。
このイニング消化能力だけは現代のセイバーメトリクスで現しきれないと感じます。
内容はどうあれ崩壊しない程度にイニングを消化する、という能力はリプレイスメントレベルははるかに超えている。

というのは同意される方も少なくないと私は勝手に思っています。

*1:例えば鋭い当たりが正面を突いたり、優秀な野手の守備力に救われたり…